私たちがテレビなどのメディアで触れている経済問題は一般的な解釈(A面)です。一方で経済問題には「こういう見方もある一方で、こういう見方もできる」という別の視点(B面)が存在します。ARIA世代が知っておくべき経済問題の「A面」と、そうだったのか! と思わず膝を打つ「B面」を、気鋭のエコノミスト・崔真淑(さいますみ)さんが分かりやすく読み解きます。

「○○ペイ□億円還元!」の両面は… A面 スマホ決済「再編」元年、勝負の年だ! B面 再編レベルではない「巨大経済圏」が誕生?

スマホ決済は「ポイント還元でお得だから」使う?

 昨年、2019年は「キャッシュレス元年」と言われました。ここ1年ほどの間に「スマートフォンに決済サービスのアプリを入れた」という読者も多いのではないでしょうか。

 そもそも政府には、消費者の利便性のアップ、事業者の負担の軽減や生産性向上などにつながるとして、キャッシュレス決済比率を2025年までに40%にするという目的があります。しかし手軽にATMが利用でき、現金払いでも特に不便はないといった理由で、なかなか浸透していませんでした。

 その流れを変えたのが、2018年に発表された、2019年10月の消費増税に伴うキャッシュレス・ポイント還元事業の内容です。条件に該当する場合、キャッシュレスで支払えば5%のポイントが還元されるとあって、どちらかというと「便利」というよりは「お得」という点でキャッシュレス決済が注目されるようになります。

 さらにQRコード決済では、2018年に後発で参入したPayPayが大規模な還元キャンペーンで知名度、登録者数を一気に伸ばしたことで、ライバル各社も大胆な「ポイント還元」を実施。私たちは「一体どの『ペイ』をいつ使えば、より有利になるか」に頭を悩ませることになりました。

 こうしたユーザー獲得合戦の次のステージは? 早くも、スマホ決済事業者の再編が始まり、2020年は「スマホ決済再編元年」だという声も聞かれます。では、どのように再編されつつあるのでしょうか。ここで主役に躍り出そうなのが、携帯電話大手各社です。