英vs欧州大陸、仏vs独 戦争のデメリットが大きすぎる

 私たちが世界史で学んできたとおり、ヨーロッパではイギリス対スペイン、ドイツ対フランスというように、近隣諸国で戦争が繰り返されました。20世紀の世界大戦でもヨーロッパは戦場になり、戦場とならなかったアメリカが戦後復興を担い、やがて世界経済の中心になっていきました。

 戦争は悲惨なだけではなく、経済的なデメリットも大きすぎる。そこで二度と戦争を起こさないように加盟国間の経済的な結びつきを高めよう……これが、EUが生まれた理由の1つです。

 経済的な結び付きを強化するためには、貿易のたびごとに手数料を払って異なる通貨を両替するといった手間がないほうが、スムーズです。そこから欧州単一通貨の構想が生まれ、後のユーロになります。

 ここで「でも、イギリスの通貨はユーロでなくポンド」と気づいた人も多いと思います。EU加盟国とユーロ導入国は必ずしも一致しませんが、当初からEUに参加したイギリスがユーロには不参加となったのには「事件」があります。実はここに、EUやユーロの難しさが既に表れていたのです。