世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する「ジェンダー・ギャップ指数」は、経済活動や政治への参画、教育水準、健康面など4つの分野から算出される男女間の格差を示す指標です。2019年12月の発表では、日本は153カ国中121位と過去最低を更新。もちろん、主要先進国では最低でした。どこに問題があり、その結果どんなことが起きているのか、東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻 教授の瀬地山 角さんが解説します。

(1)ジェンダーに対する考え方が古いと2億円損する なぜ?
(2)男女とも専業主婦想定は1割 配偶者控除はなぜ残る?
(3)個人差は性差を必ず超える 性別からの自由の概念を守れ! ←今回はココ

女性が働きやすい企業は男性も働きやすい

―― 日経ARIAの読者は管理職の立場にいる方も多いのですが、今、学生たちにとって魅力ある企業とはどういう企業なのでしょう。

瀬地山 角さん(以下、敬称略) 少なくとも私は、『就職四季報 女子版』(東洋経済新報社)は男子も必見と言っています。『就職四季報 女子版』で、まず社名の横に「くるみん」マークがあるかをチェックせよと。このマークは「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証し。少なくともこれまでに男性の育休取得者が1人以上いることが分かります。

 さらに『就職四季報 女子版』には、女性の勤続年数や既婚率も出ています。「女子の既婚率6割やん、そんな会社、おばちゃんばっかりやから、行くのやめとこ」などと、男子学生が考えるのは大間違いで、「アホなこと言ったらあかん、女性が結婚したぐらいで働き続けられない会社は、絶対男性にとってもブラックやで。既婚率が高く、勤続年数が長い会社は基本的にいい会社なんや」と教えています。

 くるみんマークがついていない、既婚率2割以下、平均勤続年数4年以下、有給消化年平均7日未満となったら、相当ひどい。またNA(回答していない)企業は情報開示していないという点で、疑わしいとみることができます。企業は、こうしたデータが就活に影響していることを、きちんと意識したほうがいいと思います。