さまざまな課題解決法を試してもうまくいかないとき、必要なのは「自分と向き合うこと」かもしれません。VUCAの時代、自分とチームを成長させていくのに必要なスキルとして注目されているのが「リフレクション」です。リフレクションを使って自分の価値観を明確にし、ビジョンを伝え、対話を深める方法について経験から学び、未来に生かす方法を、人材教育に詳しい昭和女子大学キャリアカレッジ学院長の熊平美香さんに聞きました。

(1)VUCA時代の成長スキル「リフレクション」で自分軸を
(2)多様な意見を引き出して合意形成するための4ステップ ←今回はココ
(3)行き詰まったらアンラーンすることで成長する

相手に主体的に動いてもらうためのストーリーテリング

編集部(以下、略) 自分とは違う世代、違う価値観の部下や同僚と仕事をするとき、「自分の意図がうまく伝わらない」「思ったように動いてくれない」という感じることがあります。

熊平美香さん(以下、熊平) 指示命令するだけでは人は思うように動いてはくれませんし、相手がただ「言われた通りにやる」のでは、良い結果につながりませんよね。リーダーはビジョンの伝え方が大切です。リーダーシップとは役職にかかわらず、相手に主体的に動いてもらう影響力のこと。そこで欠かせないのが自分の価値観に基づいたビジョンを伝えることなのです。

 最近よくいわれるのが「ストーリーテリング」の重要性です。例えば、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が新製品の発表会で行ったように、ビジネスにストーリーを持たせると、それが共感を呼び、人を動かします。ストーリーテリングで大事なのは、どんな経験をして、どんな感情になったかを語ることだと私は考えています。

―― それは前回聞いた、自分の意見を経験、感情、価値観に切り分ける、「認知の4点セット」と同じ構造ですね。

熊平 そうです。自分のビジョンを語るとき、そこに自分の経験と感情を乗せることができれば、嘘がない自分の言葉になります。認知の4点セット(意見、経験、感情、価値観)のフレームワーク(※1回目参照)で価値観の軸を作ることができれば、それにひもづく経験と感情も明確です。自分のビジョンの背景にある経験と感情を合わせて語ることがストーリーテリングになるのです。

 ビジネスでも子育てでも、願いを人に届けるためには、ストーリーテリングが役に立ちます。「自分はこういう経験があって、こう感じたから、あなたにこうしてほしい」と語る。これは日常的に人を動かす上で使える武器になります。ストーリーテリングはおそらく女性のほうが得意だと思いますよ。

チームの目標を語るとき、自分のビジョンの基になった経験と感情を合わせて伝えるとストーリーテリングができる
チームの目標を語るとき、自分のビジョンの基になった経験と感情を合わせて伝えるとストーリーテリングができる

―― 自分のビジョンを伝えることともに、相手の意見を聴く「対話」も大切ですよね。自分とは違う意見を持つ相手と仕事を進めるとき、どのように対話すれば、前向きな議論ができ、融和点が見いだせるでしょうか?