誰もが自由に発信できる「人類総メディア時代」。そこには、知らないうちにネット炎上に巻き込まれたり、フェイクニュースを拡散してしまったりというリスクも潜んでいます。ソーシャルメディアに関するさまざまな現象を正しく認識し、自分や企業に起こるリスクに対応するにはどうすればいいのか。統計的な手法を用いてデータを分析し、ネットメディアを研究する国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授、山口真一さんに聞きました。

(1)「正義感」でネット炎上に加担する人の意外なプロフィル ←今回はココ
(2)企業はSNSをどう使うべきか 炎上防止対策を考える
(3)フェイクニュースと気づかずに拡散する可能性

数人のリツイートから大炎上に至るまで

編集部 誰かのコメントに対して批判や誹謗(ひぼう)中傷などが集中する「ネット炎上」は、日々どこかで起きているように感じます。炎上とは、どのようにして起きるのでしょうか。小さな炎上で終わるか、大炎上になるかは何が違うのでしょう。

山口真一さん(以下、山口) シエンデプレ デジタル・クライシス総合研究所の調査によると、2021年のネット炎上は年間1766件程度発生しています。平均すると、1日5件以上は炎上していることになります。

 炎上が起きるパターンがいくつかありますが、まずSNS上に批判の対象になりそうなものが投下されると、それが種火になりリツイートされ拡散します。この段階ではまだ影響範囲も限られていますが、それがまとめサイトに掲載されたり、ネットニュースに取り上げられたり、フォロワーが多い人に取り上げられると、急速に拡散されます。それが大きな炎上になるのは、ネットではなくテレビや雑誌といったマスメディアが取り上げたことで起こります。

 研究によると、炎上の認知経路として最も多いのがテレビの情報番組、バラエティー番組。ネット炎上というけれど、一番広げているのは実はマスメディアです。テレビなどで報じられると、さらに引用して拡散される。この共振現象によって炎上が大きくなっていきます。

「ネット炎上はネットの現象でもありますが、実際にはマスメディアが最も広く拡散させていることが分かっています」(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授山口真一さん)
「ネット炎上はネットの現象でもありますが、実際にはマスメディアが最も広く拡散させていることが分かっています」(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授山口真一さん)

―― 炎上に加担するのは、どういう人なのでしょうか。

山口 人類総メディア時代ですから、誰でもリツイートする可能性はあります。何の気なしに「面白い」と思って拡散するわけです。ただ、積極的に炎上に加担する(書き込みする)人にはいくつかの特徴があります。