「40歳以上のキャリア女性にとって、今は転職の好機」と語るジェイ エイ シー リクルートメントの井上登紀子さん
「40歳以上のキャリア女性にとって、今は転職の好機」と語るジェイ エイ シー リクルートメントの井上登紀子さん

転職は「売り手市場」から「買い手市場」に180度変化

―― コロナ禍でのライフスタイルの変化が、そのまま求人にも反映されているようですね。コロナ前と比べて、転職のしやすさは変わりましたか。

井上 ここ数年、インバウンドや景気の上昇基調に加え、労働人口の減少による人手不足もあり、転職の世界では求職者に有利な「売り手市場」が続いてきました。しかし、新型コロナをきっかけとして、企業側に有利な買い手市場に180度変わりました。2012年のアベノミクス前へ逆戻りした感覚です。つまり、求人数は増えてはいても、採用のハードルが上がって、最終面談まで進むことが難しくなっているのです。

―― 具体的にはどのような状況でしょうか。

井上 これまで売り手市場のときには、企業側は採用か不採用かの判断がギリギリの人でも、“迷うなら採用しておこう”というケースが4~5割ありました。しかし、コロナ禍で社会構造が大きく変化している中、多くの企業が生き残りをかけて経営の見直しを迫られており、余裕のない状態です。

 その結果、以前にも増して即戦力になる人材を求める傾向が強くなっています。企業が求めるスキルと応募者の持つスキルが100%合致しないと採用に至らないケースが増えているのです。

今は転職の「攻め時」。求人のミスマッチが起こりにくい

―― 日経ARIAの読者世代、40~50代の女性にとって、ずばり今は転職を避けるべきタイミングということでしょうか?

井上 答えはNOです。逆に「攻め時」であり、「満足のいく転職ができるチャンス」です。こうした時期だからこそ、自分がその会社に参画してどんなふうに仕事をしていきたいのか、しっかり話し合った上で転職できるため、ミスマッチが起こりにくいのです。

 特に、40〜50代の女性の方々は、これまで自分の意志でキャリアを切り開いてきて、これからやりたいことも明確なケースがほとんどです。バブル、ITバブル、リーマン・ショックを経験して、逆境にも強く柔軟性も身に付けています。キャリアが途切れずに続いていることは、かなり価値があるので自信を持っていただいていい。焦らずにしっかりと情報収集して、時間をかけて転職活動をすることで、本当に自分に合った会社に巡り合える可能性が高いと思います。

「40歳以上のキャリア女性にとって、今は転職の好機」と語るジェイ エイ シー リクルートメントの井上登紀子さん
「40歳以上のキャリア女性にとって、今は転職の好機」と語るジェイ エイ シー リクルートメントの井上登紀子さん