外陰部は女性の第2の顔、セルフケアが必要

―― 尿漏れや性交痛などがあると、確かに気持ちも落ち込むし、行動が制限されますよね。気になっていても、人に話すのは恥ずかしかったり、病院にかかるほどでもないと諦めたりする人も多いと思います。改善することはできるのでしょうか?

関口 GSMは放っておくと次第に慢性化して進行していきますが、早めにセルフケアをしたり、積極的に運動や治療に取り組んだりすることでかなり改善できますし、予防にもつながります。治療法についても、ここ数年で研究が進み、選択肢が増えてきました。

 腟や外陰部は女性の「第2の顔」と呼ばれています。顔と同じように乾燥やシワ、たるみが生じます。腟は生理のとき、出産のとき、セックスのとき以外は意識されませんが、自分の人生を豊かにするために、自分自身が関心を持ってセルフケアをすべき重要な場所なのです。

 そして、フェムゾーン(腟と外陰)のケアとともに大事なのが骨盤底です。骨盤には底の骨がありません。胴体の一番底は、骨盤底筋群や靭帯・筋膜で構成された骨盤底というプレートでハンモックのように支えています。この骨盤底を受け皿に子宮や膀胱(ぼうこう)、直腸が収められ、尿道や肛門、腟を取り巻いています。だから骨盤底筋群が衰えると、尿漏れや頻尿、便秘、下腹ぽっこり、腰痛など全身の不調の原因になります。GSMを予防する点でも骨盤底筋群の強化は欠かせません。インナーマッスルなので普段はあまり意識されませんが、女性の健康を支える大切な筋肉群です。

 フェムゾーンのケアに加え、骨盤底筋群を鍛えていくと、更年期以降も健康を維持して人生を楽しめるのです。

※次回は、具体的な下半身の日常ケアや治療について紹介します。

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取材・文/竹下順子(日経xwomanARIA) 撮影/花井智子