関口 人生の前半は生殖のために負担を強いられますが、閉経後の人生は自分のために楽しむという発想で考えればいいと思います。更年期以降の人生は人間の女性にだけ与えられた貴重な時間です。ふつうの動物は生殖から解放されたところで死を迎えますが、生殖にとらわれず生きる時間が40年近くもあるのは、人間の中でも男性には与えられていない女性だけの特権です。その時間を有効に楽しむには、健康でいることが重要であることは間違いありません。

閉経後に必要なエイジングケアとは?

―― 女性ホルモンで守られなくなる更年期以降も健康でいるためにはどういうことに気を付ければいいですか?

関口 まず、がんで死なないためにがん検診を受ける習慣を付けること。さらに、脳血管障害や心臓病などを発症させる動脈硬化を進行させないために生活習慣病を予防・治療します。痛みなく動ける体を保てるように骨密度の管理と全身の筋肉運動も必要です。つまり、骨・血管を守り、うつにもならず、皮膚の状態も保ち、筋肉量を維持し、がんを早期に発見する――こうしたエイジングケアを心掛けることが大切です。

「90歳まで現役で働くことを目指しています」という関口さん。女性医療クリニックLUNAには50歳以上を対象にした「LUNAネクストステージ」があり、女性泌尿器科、女性内科、形成外科、美容皮膚科、理学療法、エクササイズスタジオなど50代以降のエイジングケアに取り組んでいる
「90歳まで現役で働くことを目指しています」という関口さん。女性医療クリニックLUNAには50歳以上を対象にした「LUNAネクストステージ」があり、女性泌尿器科、女性内科、形成外科、美容皮膚科、理学療法、エクササイズスタジオなど50代以降のエイジングケアに取り組んでいる

 そして、更年期以降を快適に過ごすために、もう一つ重要なのが下半身のケアです。欧米では、「閉経後も性的活動が自分の人生には大切である」と考える女性が90%以上で、そのうちの50~60%は外陰部のトラブルがあるため性的活動を控えてしまうということから、GSMが閉経後の女性のQOLを下げる課題としてクローズアップされるようになってきました。性交痛だけでなく、尿漏れや外陰部のトラブルは、生活の質をじわじわと下げ、日常生活の活動量を下げ、結果的にロコモティブシンドロームなどにもつながります。