「おニャン子クラブ・会員番号4番」でデビューした新田恵利さんも早やARIA世代。アイドル時代と変わらない笑顔で、92歳のお母さんの介護を続けています。7年目になる介護生活から得た、日々明るく過ごす秘訣を聞きました。

(編集部追記)新田さんのお母様は2021年3月に逝去されました。謹んでお悔やみを申し上げます。

 新田恵利さん(以下、恵利さん)は現在、TV・ラジオ出演や講演などタレント活動をしながら、神奈川・湘南の二世帯住宅の1階に暮らす92歳の実母を介護している。介護生活は7年目に入った。

 「私は母が39歳のときに生まれたので、同世代より少しだけ早く介護が始まりました。最近ようやく周囲でも本格的に介護に直面する人が増えてきましたね」。当初は戸惑いや悲しみ、つらい気持ちもあったが、ここ数年で意識は変わってきたという。「『これって自分のためにもやっているんだなぁ』と思えるようになってからすごく楽になりました」

母が骨折で入院、突然介護生活が始まった

 介護が始まったのは2014年の秋のこと。

 「母が腰の圧迫骨折で入院しました。85歳でしたからそれなりの年齢でしたが、それまでは自宅の階段を上り下りして、割烹(かっぽう)着で動き回り、私が仕事のときは2匹の愛犬の面倒を見てくれていました」。ところがその入院をきっかけに、急に認知症状が出るようになってしまったという。

 「約30年前に亡くなった父のことを『今何しているかしら』なんて言い出して……。たった20日間の入院でこんなに母が弱ってしまうなんてと、ショックと悲しみにくれました」

 いきなり始まった介護生活。介護仕様の住まいにするために家の中の衣類などを片付け中、(母のトレードマークの)割烹着をたたみながら涙があふれたこともあったそう。だが「私は、大丈夫」「たくさんの人が介護を頑張っているんだもん。私も頑張るしかない」と前を向いた。