2021年4月に宝塚歌劇団を退団し、直後に立った舞台で大活躍を見せた望海風斗さん。元雪組トップスターとして順調に輝かしい道を歩んできたように見えますが、人知れず悩んだり落ち込んだりしたこともあるのだそう。そんなときにどう乗り越えてきたのか、語ってくれました。

 きらびやかさに目を奪われる宝塚歌劇の舞台。でもこの人が歌い始めると、目を閉じて、全身で聴くことに集中したい誘惑にも駆られた。「耳が喜ぶ」とも賞される圧倒的な歌声の持ち主が、元雪組トップスター・望海風斗さんだ。

望海風斗
望海風斗
のぞみ・ふうと/女優。神奈川県出身。2003年、89期生として宝塚歌劇団入団。14年に雪組に組替えし、17年に同組トップスターに就任。『ファントム』『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』他多くの作品に主演し、21年4月に退団後、ソロコンサート『SPERO』開催。22年1~2月の『INTO THE WOODS』が退団後初のミュージカル出演となる

 今年4月に宝塚を退団し、直後に出演したのが『エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』。歴代の宝塚OGが次々と舞台に立った公演で、望海さんが死神トートを演じた大千秋楽は、新型コロナ感染症の影響で無観客ライブ配信のみとなったが、観客数はなんと4万人に上った。

 「一幕と二幕との幕間にその数字を教えていただいて。開演前に知らなくてよかったと思いました。二幕からエリザベート役で登場する明日海りお(元宝塚トップスターで、望海さんの同期生)は震え上がっていましたから」(笑)

 今後、さらにさまざまな挑戦をしていきたいと言う。この8月からは、その歌声をたっぷり楽しめる初のソロコンサートツアー『SPERO』(スペロ)で、大阪、福岡、愛知、神奈川の4都市を回っている。

 高い素質に加え、誰もが認める努力家で強い精神力の持ち主。無敵のポテンシャルでトップスターへの階段を駆け上がったように見える望海さんだが、雪組トップスターになる1年ほど前の『日経WOMAN』誌面では、迷いの時期もあったと話してくれた。「誰かのせいにしているうちは絶対チャンスは回ってこない」という言葉に出合い、転機となったとも。いつ頃のことだったのだろうか?

 「いつというより、いつもですね。トップになったらなったで、また違う悩みにぶつかっていましたし」。そのたびに、「つまずいた原因は自分にある」と考え、課題を見つけ、克服することを繰り返してきたという。

 「そんな経験を重ねるうちに、壁にぶつかっている最中でも『きっと今度も乗り越えられる』と、自分への信頼が少しずつ高まっていった感じがあります」

望海風斗コンサート 『SPERO』(スペロ)
望海風斗コンサート 『SPERO』(スペロ)
退団後のリスタートとなるコンサート。豪華ゲストも話題。8月2~11日・梅田芸術劇場メインホール、8月20~22日・北九州ソレイユホール、9月16~17日・東海市芸術劇場大ホール、9月26日~10月5日・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉