40代は俳優として最も幅が広がる時期

―― 50代になった今、俳優の仕事はやりやすくなっていますか?

阿部 むしろ、やりづらくはなっていますね。俳優としては40代が一番演じやすい。20代から60代の役まで演じることができて、すごく幅が広いですよね。50代になると、20代の役はきついし、30代もどうかな……。幅は狭くなっていくけど、チャレンジ精神を持っていろいろな役をやっていきたいほうなんで。あまり、次はこうしようと構えていくより、知らない世界に飛び込んでいくほうがきっと面白い。

―― ARIA読者は阿部さんとほぼ同世代です。人生100年といわれる今、キャリアに悩むことも多いARIA読者に同世代としてアドバイスするとしたら?

阿部 参考になるか分かりませんが、僕は、30代の頃は1作終わったら次、また次と、自分の役を変化させていきたいと思っていました。そして40代は主役を多くやるようになり、50代の今はさらに主演を務めるようになったけれど、今は30代のときの気持ちに戻ろうと思っています。いろいろな役をやったほうが、自分がやりたいことができる。

 役を練りながら演じるのもいいけど、そうじゃない(思い切ってやった)ほうが広がっていく。1つ1つの作品をいきいきと演じられると思う。ある種、いい加減さも必要だと思っています。57歳のここからは、どんどん新しいことに挑戦して、馬車馬のように働くほうが、演技がよくなっていくと思っている。皆さんもぜひ、そうしてください。

「知らない世界に飛び込んでいきたい」と阿部さん
「知らない世界に飛び込んでいきたい」と阿部さん