「会うなり頭をなでてくれる男は今までいなかった」

―― 瀬尾さんの息子さんを孫のようにかわいがっていましたね。

瀬尾 かわいがる視点がちょっと人とは違って。最初はテーブルの下で寝ているだけだった人間が、今はそのテーブルの上に立って踊っている。少しずついろいろなことができるようになって、自我が目覚めて自己主張し、先生に命令したりもする。「ただかわいい」というより、その成長過程をすごい好奇心をもって、作家の視点で見つめていらしたのだと思います。

 「私に会うなり頭をなでてくれるような男は今までいなかった」と言って笑っていました。何でも受け入れてくれる、本当に度量の大きい方でしたね。

瀬尾さんの長男を「私の最後の男」と原稿にも書いていた
瀬尾さんの長男を「私の最後の男」と原稿にも書いていた

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寂聴さんと過ごした11年 66歳差の絆が生まれた理由

取材・文/中城邦子 構成/竹下順子(日経xwoman ARIA)写真提供/瀬尾まなほさん

瀬尾まなほ
1988年生まれ、兵庫県出身。京都外国語大学英米語学専攻。大学卒業と同時に寂庵に就職。3年目の2013年、長年勤めていたスタッフ4人が退職し、66歳年の離れた瀬戸内寂聴の秘書として奮闘の日々が始まる。近著に『#寂聴さん 秘書がつぶやく2人のヒミツ』(東京新聞)、『寂聴さんに教わったこと』(講談社)。『今を生きるあなたへ』(SB新書)など瀬戸内寂聴との共著も。