「いいね、私も早く死にたい」が口ぐせに

瀬尾 90代になってからは数年に1度、がんなど大きな病気をして入退院を繰り返していました。それでも必ず復活して戻ってきたので、今回も帰ってくると思っていました。ここ数年は「早く死にたい」というのが口ぐせで。周囲の人がどんどん亡くなっていく寂しさもあったと思いますし、自分より若い方が亡くなると、「いいね、私も早く死にたい。私はいつまで生きるんだろうな」というのは口ぐせのようになっていました。

 でも、それが決して悲観的ではなくって。いろんなことをやりきったから、この世に未練はないという感じで。死ぬことが怖いとは思っていなかったと思います。頭と心は若々しくても体は衰えてきて、思ったように体が動かなかったりする瞬間、「もういいよ」と思うようでした。

―― 「早く死にたい」は、親の介護などで言われたことがある方も多いと思います。言われたほうは、返答に困りますが、瀬尾さんはどう応えていたのですか。

瀬尾 食欲はしっかりあって、おいしいものが大好きなので、「そんなによく食べていたら、なかなか死ねませんよ」と言うと笑っていましたね。肉もお酒も好きで、「飲まなきゃ、やってられない」みたいなことはよく言っていました。酔って階段から落ちたこともありましたが、お酒はやめませんでした。何にでも興味をもって、私たちが食べるもの、使うもの、着るものを一緒に喜んで試してみる。

95歳で始めたインスタグラム

瀬尾 先生を見ていると若さの秘訣は好奇心だなと思います。60歳以上離れている私の洋服を見て、「かわいいから同じ服が着たい」と普通は言わないじゃないですか。「若いから似合うんだね」とか、「かわいいけれどちょっと私は無理」となりがちですが、そういうことがありませんでした。そして、また似合うんです。原色の服などは、私より似合うと思うことも多かった。この年齢だからやめようということは一切ありませんでした。

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 ですから長生きも悪くないと思ってほしくて、先生がワクワクするようなことを一緒にできないかと、いつも探していました。新しもの好きで、スマートフォンが出るとすぐに使い始めたぐらいですから。4年前、インスタグラムを始めることを提案したら、半信半疑で始めて、あっという間にフォロワーが何万人にもなりました。

 ジェネレーションギャップはもちろんありますが、私も99歳の方としゃべっているという感覚が全くなかったですし、好奇心や興味の持ち方という意味では同じような世代でいた気がします。