決めているのは「不機嫌にならない」ということ

山下 プレッシャーは常に感じていますね。私が社長じゃなかったら、もっと違う会社になったんじゃないかとか思うこともいっぱいありますし。朝出勤して、廊下からオフィスのドアを開ける瞬間が怖くてしょうがない時期がありました。社員が増えれば増えるほど、100人近い人の眼がこっちを一斉に見る。社長ってこんなにも一挙手一投足を見られるのか! と最初のうちは慣れなくて、気持ちのアップダウンが激しいときもありましたね。

 でも、そういうときこそ、「自分が本当に望んでいるのは何だろう?」と原点に帰る。私が望んでいるのは、このブランドの素晴らしさをもっとたくさんの人に知ってもらうこと。そして、ここで働く皆がハッピーであること。そうやって心の原点に立ち帰ると、「私はこのブランドやメンバー皆のことが大好きなんだから、今やれるベストをやればいいじゃん!」と、シンプルになれるんです。

 経営者の中には気持ちのアップダウンがなく、常にパワフルで、ポジティブな方もいるかもしれませんが、私の場合はダメなときはダメだと認めて、「今日はもう帰るね」って仕事を切り上げるときもあります。

 ただ、決めているのは、「人に当たらない」「不機嫌にならない」ということ。それだけは意識しています。だから、落ち込んだときも、悔しい気持ちのときも常に笑う。社員から「疲れてますよね? チョコあげるので元気出してください」って、すでに周囲にバレバレなんですけどね(笑)。「ありがとう。私、疲れてるわ」と弱音も出してしまいます。理想の社長像とは、ほど遠いのかもしれませんが、少なくともそれによって業績に影響は出てきていないようですから、これからも素のままの自分で行こうかなと思っています。

―― 社長になって3年目とのことですが、経験を積むごとに経営のスタイルというのは変わりましたか?