日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が誕生し、2021年9月に開幕しました。初代チェア(代表理事)を務める岡島喜久子さんは、外資系金融機関で長年活躍してきた異色の存在です。(下)では、海外で働く上で自分の強みをどのように生かしてきたか、WEリーグを成功に導くための今後の展望について聞きました。
(上)WEリーグ岡島喜久子「壁は越えずに迂回するのも一手」
(下)外資→WEリーグへ 自己肯定感の低い人こそリーダーに ←今回はココ
揺るぎないキャリアを確立してからしたこと
編集部(以下、略) 米国ではボルティモアでキャリアを再スタートさせています。結婚退職後、仕事はすぐに見つかったのですか? 米国に渡ってキャリアを積む上で壁を感じることはありましたか?
岡島喜久子さん(以下、岡島) 結婚退職して、夫の故郷、メリーランド州のボルティモアに移りました。これまでのキャリアが評価され、紹介で地元の3つの金融機関のトップと面接をしてもらい、1週間後にはファースト・ナショナル・バンク・オブ・メリーランドに仕事が決まっていました。
ただ、年齢の壁を意識したことはありました。出産です。結婚してファースト・ナショナル・バンクに転職したのが32歳のとき。自分のポジションをしっかり確立するまでに2~3年は必要でした。日本企業の口座をお預かりする仕事だったのですが、「絶対にどんなことがあっても辞めさせられることはない」という自信ができてから、35歳で妊娠をしました。
米国は約3カ月しか産休がないのですが、私にとってはちょうどよかったですね。出産から2カ月半後には、もう赤ちゃん言葉じゃなく大人としゃべりたいと思っていましたし、営業の立場ではお客さんをそんなに長く放っておけません。託児制度など事情の違いはありますが、1年の産休・育休はちょっと長過ぎるかなと個人的には思います。