事業を立ち上げるもITバブル崩壊で会社をたたむことに

―― ロレアルの次の仕事はどのように決めたのでしょうか。

松山 ロレアルで目標を達成したらまた別のことにチャレンジしたくなってしまって、迷っていたときに事業の立ち上げに参画しないかという話があったので、退職しチャレンジすることにしました。ECと実店舗を両方手がける会社を代表として立ち上げるという話でした。その後ITバブルが弾けて計画は頓挫。大手企業ともパートナーシップを組むことも決まっていたのですが、見込んでいた資金投入が受けられなくなり、断念することになりました。もし社員がいたら大変だったなと痛感しました。大変な経験でしたが、会社や事業を継続させることがいかに大変で、大切なのかを思い知ることになりました。

 そのあと、ファーストリテイリングに入ることになるのですが、面接で柳井正社長に「失敗した経験はありますか」と聞かれて「あります」と、事業の立ち上げに失敗した話をしました。柳井さんは「一勝九敗」という本も出されていますけれど、失敗から学ぶことが重要であって、失敗したことを恥じることはない、と言っていただけたのはとてもありがたかったなと思います。

ロレアルを退職して事業の立ち上げに関わったのですが、ITバブルが弾けて会社をたたむことに。「会社や事業を継続させることがいかに重要なのかということを思い知ることになりました」
ロレアルを退職して事業の立ち上げに関わったのですが、ITバブルが弾けて会社をたたむことに。「会社や事業を継続させることがいかに重要なのかということを思い知ることになりました」

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取材・文/砂山絵理子(日経ARIA編集部) 写真/鈴木愛子