テレワークが標準化し、多くの人が「オフィスに出社しなくても仕事ができる」ことを実感。移住やデュアルライフへの関心が高まっています。定額で全国の拠点に住み放題になるコリビング(co-living)サービス「ADDress(アドレス)」には、会社員の会員が急増しているそう。多拠点で暮らすというライフスタイルにはどんな魅力と未来があるのか。シェアリングエコノミー協会常任理事、アドレス代表取締役の佐別当隆志さんに聞きました。
潜在的なデュアラーは1100万人と予測
―― 定額月4万円で多拠点生活が可能になるコリビング(co-living)サービス、ADDressを立ち上げたのは2018年12月でしたね。創業する前は多拠点生活へのニーズをどうとらえていましたか?
佐別当隆志さん(以下、敬称略) 「アドレスホッパー」や「ミニマリスト」といった言葉がはやり始めていて、家を持たずに海外を点々とする女性インスタグラマーが登場したり、アドレスホッパーナイトというイベントが開催されたり、情報感度が高い人たちの間で多拠点生活が実践され始めていたので、ニーズは間違いなく広がるだろうなと思っていました。
2018年のリクルートの調査では、今後、多拠点生活を希望する潜在的なデュアラーは1100万人、市場規模30兆円を超えるという予測もありました。そこまでいくかは分かりませんが、この10年で、都心でなくても仕事ができる環境や低コストで便利な移動手段が増えるのは間違いないと思います。
コロナ以降、会社員の多拠点生活者が増えた
―― コロナ以降、会員数はどう変化しましたか?
佐別当 2020年6月、7月ごろから会員数が3倍、4倍に増えていきましたね。テレワークがこんなに一気に普及するとは思っていなかったので、ある意味、未来が一歩早く近づいた。コロナ以前はフリーランスや自営業、専門職の方が中心でしたが、今は新規入会の半分ぐらいが会社員です。テレワークが浸透して、多くの人にとって多拠点生活が現実的な選択肢になったんだと思います。
会員登録者は20代~40代が中心で、男女比は6:4ぐらいですね。起業時は、若い人たちの憧れのライフスタイルとしてスタートしようと思い、女性がおしゃれだと思えるような家具や家電、リネンなどを用意しましたが、そこまで女性比率が上がるとは予想していませんでした。