新型コロナウイルスによって私たちの日常生活は大きく変わりました。買い物のスタイルもその一つ。今まで以上にネットで買い物をすることが当たり前になっています。人混みを避け、街を歩く頻度も減ったWithコロナの時代、私たちの消費行動はどう変わっていくのか。デジタルマーケティングに詳しいいつも. の取締役副社長、望月智之さんに聞きました。

望月智之
いつも. 取締役副社長
もちづき・ともゆき/東証1部の経営コンサルティング会社を経て、いつも.を共同創業。同社はEコマースビジネスのコンサルティングファームとして、数多くの企業に戦略とマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの第一人者として、ライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。著書に『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)。

―― 2019年11月に出版された『2025年、人は「買い物』しなくなる』という著書の中で「5年でリアルの棚はほぼデジタルの棚に置き換えられる」と書いていらっしゃいましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で世の中は大きく変わりましたよね。

望月智之さん(以下、敬称略) 自粛生活に入る前から「店舗離れ」やEC(電子商取引)の急成長はありましたが、新型コロナの影響で3年分ぐらいの変化が3カ月で進んだ気がします。コロナショックで店舗を閉めたところも多い。今、少しずつ街に人が戻りつつありますが、加速したEC化の流れはそれほど変わらないでしょうね。

コロナ前からEC市場は右肩上がりの急成長を見せていた。出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2020年7月)
コロナ前からEC市場は右肩上がりの急成長を見せていた。出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2020年7月)

「待つ」「探す」「並ぶ」ことへのストレス

―― コロナ前からあった「店舗離れ」にはどういう背景があるのでしょうか。

望月 今は買い物に費やす時間を減らしたいという人が増えています。よく労働者人口が減少するといわれますが、定年の延長と女性の労働参加のおかげで実際にはまだ減っていない。その分、昼間買い物できるような余剰時間のある人が減った。

 特に若い世代はスマホですべて済ませたい意識が強いので、わざわざお店に行って一から商品を選ぶようなことをしない。ネットでサーチしてから買う、あるいは店でサーチしてネットで買う「ウェブルーミング」が定着してきました。「待つ」「探す」「並ぶ」ことに大きなストレスを感じるので、事前にネットで情報を収集してから店に行き、確認だけして買うことが当たり前になっています。

―― 街に出かけて欲しい物を探すショッピングは、「楽しみ」ではなくなっているんですね。店に行く頻度が減ったWithコロナの今、さらに変化したことはありますか?