コロナ禍によってさまざまな当たり前を見直すようになったことは、既に起きていた社会構造の変化により多くの人が向き合うことにもつながったとウェルスナビ代表取締役CEOの柴山和久さんは言います。働く世代の誰もが豊かな老後に備えられるようにとの思いで全自動の資産運用サービス「ウェルスナビ」を提供する柴山さんに、資産運用を取り巻く世界的な変化について聞きました。

(上)ウェルスナビCEO「老後へ備える意識はコロナで加速」
(下)テクノロジーの力が「資産運用の民主化」を可能にした ←今回はココ

「世界水準の資産運用」が誰でもできる時代に

―― ウェルスナビは10万円からお任せで資産運用ができるということですが、主にどのような人たちが利用しているのでしょうか。

柴山和久さん(以下、敬称略) 20代~50代が全体の約9割を占め、最も多いのが40代。また、3割が投資未経験の方です。サービスの提供を始めた当初は投資経験者が9割でしたから、投資の経験や知識がない方でも始められる全自動の資産運用サービスとして普及しつつある手応えを感じています。

 これまでの世界水準の資産運用というのは、大きな資産を持つ人がプロに任せて行ってもらうか、あるいは資産は少なくても、投資や金融の知識が豊富で、かつ時間もある人が自ら投資先を選んで行うものでした。複数の金融商品を選び、それぞれの購入額を決め、運用を始めた後も時間の経過とともに変化していく資産配分をモニタリングしながら、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を適宜最適化していく。個人がプライベート・バンクを使ってこうした資産運用を行うには、2億~3億円以上の資産が必要でした。

 そういう意味ではごく一部の人のものだったサービスが、テクノロジーの力によって誰でも利用できるようになったというのは、ここ数年の大きな変化です。それがロボアドバイザーと呼ばれるシステムで、海外の機関投資家や富裕層向けの資産運用サービスと同じ水準のアルゴリズムを搭載し、10兆円でも、10億円でも、10万円でも、同じように資産を運用することができるようになりました。この変化は世界的に起きていることで、「資産運用の民主化」や「ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」といわれています。

「ごく一部の人のものだった世界レベルの資産運用サービスが、今はテクノロジーの力で誰でも利用できるようになっています」(ウェルスナビ代表取締役CEO、柴山和久さん)
「ごく一部の人のものだった世界レベルの資産運用サービスが、今はテクノロジーの力で誰でも利用できるようになっています」(ウェルスナビ代表取締役CEO、柴山和久さん)