ビジネスで成功するリーダーの資質は子育てで学んだ

 大学卒業後、ティーナさんは大手PR会社でプロジェクトマネジメントやコミュニケーション・コンサルティングの仕事で活躍していましたが、3人目のお子さんの育児休暇が終わる頃退職し、友人を助ける形でリーダーを育成する仕事に転職しました。

 近代的な価値を重視する指導者を育成する仕事に携わっていたこの時、成功する企業の指導者に必要な資質の多くは、育児休暇中や親として生活する日常から取得できていることに、ティーナさん自身の経験から気が付きました。

ティーナさんと3人のお子さんたち。3人の子育ての経験はペアレント・スマート構想の土台になった
ティーナさんと3人のお子さんたち。3人の子育ての経験はペアレント・スマート構想の土台になった

 「効率性、組織力、創造性、柔軟性は、どの職場においても高く評価されている能力です。 親として忙しい日常生活を送るなかで、いろいろなことの優先順位付けをする、うまく人に委任してやる気を起こさせる、問題をすばやく解決するなどといった能力が、日々のさまざまな子育ての場面で知らずと訓練されているのです。

 それなのに、育児休暇で長く職場から離れると職務能力が低下していると誤解されることが多いのです。これからの企業は育児休暇や手当などの福祉だけを充実するのでなく、親としての資質を評価し、生かすペアレント・スマートな企業であってほしいと思います。

 社員のあらゆる資質を正しく評価できるようになれば、持続可能な勤務体制を取れるインクルーシブで成熟した企業としての認知度が上がります。ペアレント・スマートであることで社員の忠誠心をあおり、よりよい人材確保ができるということをたくさんの企業に理解してもらいたいと考えています」