世界各国に住むライターが、現地に暮らすARIA世代の女性にインタビューをし、その国・地域ならではのキャリア設計、家族の形、趣味やトレンドなどを紹介する連載。今回は、フランス在住のライター、高櫻紗己子さんが、精神疾患や発達障害などで特別なケアが必要な子どもたちのために働く2人の医師の取り組みを伝えてくれました。

スペシャルケアが必要な子どもたちのために新制度を立ち上げ

 2021年の統計によれば、フランスにおける女性医師の割合は44%。女性の活躍が進むフランス医学界で、スペシャルケアが必要な子どもたちのために働くARIA世代の2人の児童精神科医、マリー・モード・ジョフレさん(43)とロランス・ヴィエルモ―ズさん(57)を紹介します。

 2人は、フランス・ブロン市にあるル・ヴィナチエ病院の児童精神科(0歳から18歳までを担当)に勤務しています。

 成長期の子どもに精神疾患・疾病、発達障害などが疑われる場合、早期診断・介入が重要ですが、フランスの多くの児童精神科では、受付から治療までに非常に時間がかかる上、症状に応じた診療科の専門化が進んでいないなどの問題があります。

 2人の働く児童精神科では、受付から治療までの迅速化を目指して組織の再編成が行われ、2021年4月に電話受付プラットフォーム「POP」を開設し、新規患者受付を分かりやすく一本化しました。治療面でも4つの専門科を新設。従来は、すべての疾病・疾患・ハンディキャップを児童精神科が一括担当していたので、専門科の新設は大きな躍進といえます。

2人が働くル・ヴィナチエ病院正面(写真左)と、 マリー・モード・ジョフレさん(写真右)
2人が働くル・ヴィナチエ病院正面(写真左)と、 マリー・モード・ジョフレさん(写真右)