世界各国に住むライターが、現地に暮らすARIA世代の女性にインタビューをし、その国・地域ならではのキャリア設計、家族の形、趣味やトレンドなどを紹介する連載。今回はライターの小林由季さんが、スペインの同性婚カップルの家族について伝えてくれます。

 2005年にオランダ、ベルギーに次いで世界で3番目に同性婚が合法化されたスペイン。毎年マドリードのゲイプライド・パレードには100万人(主催者調べ)を超える人々が参加し、ジェンダー問題への理解を深めています。2019年には同性婚が結婚件数の3.1%(5108組)を占め、過去最高を記録しました。LGBTへの偏見の壁は年々低くなり、彼らの権利主張は着実に法律に反映されてきています。

 二つの同性婚家族を通してスペインのLGBTの今を探ります。

一目ぼれで結ばれた2人、家族を作ることを決意

アンダルシア州プエンテ ヘニル市在住
カルメン・デ・ラ・フエンテさん(38歳、研究所技師)
ラウラ・ルイスさん(39歳、保育士)カップル

 2004年に地元のバルで知り合った2人は翌日から付き合い始めたほど、お互い一目ぼれ。一緒に家族を作るという夢は付き合いはじめの時から話していたとか。それぞれの家族にはレズビアンであることは包み隠さずにいましたが、2010年に結婚して子どもを持とうというときになって、ラウラさんの母親が反対しました。ラウラさんは言います。

 「私たちの住むこの市は人口3万人。私もここの出身です。私の母は古いタイプの人間で、最初にかなりもめました。人工授精で子どもを、しかも女性との結婚で授かるなんて、犬猫でもあるまいし恥ずかしいとまで言われました

 かたくなだったラウラさんの母親も、周囲が2人を祝福し、子どもや孫たちが幸せなのを見て変わりました。今では全く偏見なく幸せの輪の中の一人です。

ラウラさん(左)、カルメンさん(右)家族。カルメンちゃん(右8歳)、ローラちゃん(左5歳)。ラウラさんが長女を、カルメンさんが次女を出産
ラウラさん(左)、カルメンさん(右)家族。カルメンちゃん(右8歳)、ローラちゃん(左5歳)。ラウラさんが長女を、カルメンさんが次女を出産

 結婚も合法で子どもを持つことも問題なかった2人ですが、小さな町に住んでいたことによる苦労がありました。