世界各国に住むライターが、現地に暮らすARIA世代の女性にインタビューをし、その国・地域ならではのキャリア設計、家族の形、趣味やトレンドなどを紹介する連載。今回はライターの横溝絢子さんが、ポストコロナを生き抜く観光立国トルコの女性たちの日々に迫ります。

観光ガイドとしての収入がゼロに

 トルコにおいて観光業は主要な産業の1つです。観光産業は、サービス収入全体の約9割を占めており、国を挙げて観光に力を入れている観光大国です。しかし新型コロナウイルス対策として3月中旬に陸路、海路、空路の国境閉鎖が行われ、全ての国際線がストップしたため、観光客が入国できなくなりました。

 この国境閉鎖により、フリーランスで活動する多くの観光ガイドの収入がなくなってしまいました。現在多くのフリーランスガイドは大手旅行代理店に登録し、そこからあっせんされる仕事を引き受けることが多いのですが、給与の保証はありません。

 6月に入り国境閉鎖も解除され、徐々に経済活動が始まりつつあるようですが、国際的にコロナが収束しない限り、観光客の再誘致も見通しが立たない状況です。 

 そんな中、ビデオ会議ツールのZoomを使い、新しいスタイルのツアーを開拓する女性ガイドがいます。

 英語と中国語のガイドであるオズレム・エルジャンさん。同じく英語と中国語のフリーランスガイドの夫とは2019年の夏に結婚したばかり。そして同年の秋には新居を購入したため、ローンの返済のためにも今回の新型コロナ禍においてできることから始めなければいけない状況に陥ったといいます。

モスクを背景に撮影するトルコのツアーガイド、オズレム・エルジャンさん。昨年結婚したばかりで、新居のローンも残る中で観光客がいなくなる状況に直面した
モスクを背景に撮影するトルコのツアーガイド、オズレム・エルジャンさん。昨年結婚したばかりで、新居のローンも残る中で観光客がいなくなる状況に直面した