世界各国に住むライターが、現地に暮らすARIA世代の女性にインタビューをし、その国・地域ならではのキャリア設計、家族の形、趣味やトレンドなどを紹介する連載。今回はライターの橋あやめさんが、ドラマチックにキャリアを展開するドイツ人女性の生き方に迫ります。

ベルリンの壁崩壊後、文化都市に

 ドイツ・ベルリンで思うがままにたくましく、そしてユニークに働く女性たち。年齢にとらわれず何歳であろうと、ドラマチックなキャリアチェンジに挑戦する女性も多く、彼女たちの直感への信頼、好奇心の強さや行動力には目を見張るものがあります。

 東西を隔てていた「壁」が1989年に崩壊後、ベルリンは再び文化都市となりました。国際的な交流が始まり、家賃も物価も安いこの街に、アーティストやデザイナー、ミュージシャンなど、クリエーティブな職業をなりわいとする人たちが続々と集まりました。2014年には、Googleがスタートアップ企業やコワーキングのためのスペースとして「Factory Berlin」をオープンすると、今度はスタートアップ企業がベルリンに集まり始めます。

 ベルリンには、人目を気にしたり、周りに流されたりすることのない、自分の「好き」や「興味」に忠実な生き方が多くあります。女性たちの人生模様もさまざま。その時々の生活の状況や考え方、ものの捉え方によって、仕事も働き方も自由に変化させていく気風があるのです。

 アーティストからマッサージ師に大胆にキャリアチェンジしたのが、ドイツ北部の街、ノルデンハム出身のサブリナ・クラッベンホフトさん(46歳)。1990年代にオランダでアートを学び、2000年からベルリンで作家活動を始めました。

 サブリナさんは、ベルリンを拠点に旅をしながら写真撮影やドローイングの制作をしていましたが、いくつかの展示を行ったものの、売れた作品はほんのわずか。生活費を稼ぐためにも、マッサージ師とボディーセラピストになるための教育を受け、2015年から2017年の間には、自身のサロンを持ち、マッサージ師としての仕事と旅を交互に繰り返しました。

2017年、旅先のネパールで風景を描いているサブリナさん
2017年、旅先のネパールで風景を描いているサブリナさん