世界各国に住むライターが、現地に暮らすARIA世代の女性にインタビューをし、その国・地域ならではのキャリア設計、家族の形、趣味やトレンドなどを紹介する連載。モスクワ在住の小野敦子さんが、24時間耐久マラソンという過酷なレースに夢中なキャリアウーマンについて伝えてくれます。

 マラソン競技の中でも、24時間耐久マラソンという過酷な競技があることをご存じですか? その名の通り24時間走り続け、24時間で何km走れたかを競う競技。大会によって異なりますが、基本的には1.5km前後の周回コースを24時間ぐるぐる回ります。

 もちろん、24時間休みなく走り続けることは不可能なので、会場にはトイレも設置されているし、途中で休憩や食事をとることも許されます。今日はそんな過酷な競技に挑戦し続けるロシアの女性を紹介します。

走り始めたきっかけはダイエット

 世界最大の国土を持つロシア。ロシア連邦との名前の通り、いくつかの共和国が一緒になって一つの国になっているので、多民族国家でもあります。公用語はロシア語ですが、共和国や民族により独自の文化や言語があります。その共和国の一つであるタタールスタン共和国出身のシリーナ・カミーレヴナ・ガリムーリナさん(39)が今日の主役。

 シリーナさんの専門は法律。首都モスクワにある日系企業で法務のスペシャリストとして働いています。法律を専門として選んだ理由は、ユニバーサルで、幅広い知識とスキルを学べるからとのこと。そんなキャリアウーマンの彼女が走ることに興味を持ったのは2015年、きっかけは「ダイエット」。ランニングを始め、それと同時にパークラン※に参加し始めました。

※パークランとはイギリスで生まれた、無料で参加できる公園内を5km走る競技会。モスクワには市内に巨大な公園がいくつもあり、広い園内を走る人が多い。
パークランの様子。夏(左)と冬(右)で景色も環境も全く異なる。さすがモスクワ
パークランの様子。夏(左)と冬(右)で景色も環境も全く異なる。さすがモスクワ
パークランの様子。夏(左)と冬(右)で景色も環境も全く異なる。さすがモスクワ