日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。子育ても終盤にさしかかり、「これまでとは違う新たな一歩」を踏み出しつつある小島さんが、新たな気付きや挑戦を語っていきます。今回のARIAな一歩は、「更年期突入」。

「更年期は祝福すべきもの」というツイートに大反響

 生理がこんなに広く、真面目に語られるようになったのだから、そろそろ更年期についても、もっと敬意ある態度で語られるようにしたい。タブー視され、滑稽でネガティブな先入観を持たれている更年期だが、生理が終わるということは、あの毎月の煩わしさからの解放でもある。どれほどクオリティー・オブ・ライフが向上することか! さまざまな不調を伴う大きな身体の変化の時期は、しんどいけれども祝福すべきものでもあるのだ……という旨をツイートしたら、1700以上リツイートされ、9800以上のいいねがついた。自身の更年期の症状や閉経体験をコメントしてくれた人もいる。とても心強い。

 かつて、女性の体の価値は、子どもを産めるかどうかで決められた。男性の血統を残すことが重視され、妊娠できる年齢の女性しか「女」ではないと見なされた。今でもその名残がある。でも、女性の体は、女性のものだ。人生100年ともいわれる時代に、生理のある期間は人生の一部にすぎない。

 振り返ってみよう。10歳前後に初潮を迎え、本人の戸惑いをよそに、なぜか周囲から祝福される。どうやらこの体は私のものではなく、「みんなのもの」らしいという違和感。それからおよそ40年もの間、毎月血を見る生活が続く。生理に伴うさまざまな不調や望まない妊娠への不安。妊娠や出産をめぐるさまざまな神話。出血のせいで、穢(けが)れとされることもある。毎月毎月、本当によく頑張った。閉経は終わりではなく、新たな自由の始まりだ。

 なのに、「更年期」は嘲笑されてきた。中年女性をからかう“ババアいじり”の定番ネタでもある。

バラエティー番組で、「よっ、更年期!!」

 それはまだ、30代後半の頃だった。バラエティー番組のスタジオ収録で、司会の男性が私を紹介するときに言った。「よっ、更年期!!」。求められているのは、怒ってみせるか自虐ギャグかだろう。これが初めてではない。同じ男性に、それまでも何度か言われていたことだった。

 私は毎度、至って真面目に答えていた。「一般的には、私の年齢ではまだ更年期じゃないんですよ」「更年期って、本当にしんどいらしいですよ」。テレビ的には空気を読めないノリの悪い女、冗談の通じないつまらないタレントだろう。当時はまだエイジズムとかセクシズムという言葉は知らなかったけど、女性を笑いものにする風潮には加担したくなかった。だから真顔で答えていた。おまえがどれほど挑発しようと、私は更年期を笑わない。どんな変化も、この尊い体を生きることなのだ。