日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。子育ても終盤にさしかかり、「これまでとは違う新たな一歩」を踏み出しつつある小島さんが、新たな気付きや挑戦を語っていきます。今回のARIAな一歩は、「社会活動」。

「できる範囲で、少しずつ」社会活動に参加してきた

 世の中と自分の暮らしが地続きだと気づいたのは、いつのことだったろうか? 年齢を重ねるうちに、分かってくる。この世に自分と無縁のものは一つもないということが。だから、もしも自分にできることがあればささやかでも何かしよう、と。

 最近は優秀な学生が卒業後にNPOを立ち上げたり、30代の官僚が辞めて社会起業家を目指したりなど、世の中に直接関わって社会課題を解決したいという若い人も珍しくない。私は30代半ばぐらいからなぜかそういう人たちとの縁ができて、社会活動を身近に感じるようになった。

 社会活動に長く深く関わっている人ほど「無理のない範囲で、できることをできるときにしてくれればいい」と言う。休日に活動に参加することもできるし、それが無理なら募金という形で応援することもできるし、情報を拡散するのも支援の形の一つ。私はNPO法人キッズドアという団体のアドバイザーを務めているが、これもさまざまな得意分野のあるアドバイザーたちが力を出し合い支援をしていく形。他にも、ハラスメントをなくそうという活動、議会を男女同数にしようという活動、同性婚の合法化を求める活動、医学部入試における女性差別を許さないという活動、行き場のない女の子たちのシェルターをつくる活動、アプリを使って痴漢被害をなくす活動、性暴力に対する厳罰化など刑法改正を求める活動、被災地の教育支援活動、子ども食堂に関する活動、不登校児の教育支援活動、自殺防止のための支援活動などなど、できる範囲で少しずつ参加をしてきた。

 これらは友人や知人が立ち上げたもので、活動の動機や目的に共感して支援を決めた。ささやかながら募金をしたり、私の場合はメディアで活動しているため、記者会見に出たり、SNSで取り組みを広く世の中に知ってもらうための支援をすることも多い。