2年ぶりにオーストラリア・パースへ渡航し、ようやく家族と再会できた小島慶子さん。久しぶりに見る「3次元の息子たち」がすっかり青年になっていることに目を見張り、夫にも好もしい変化を感じ取ります。(下)は、長男に比べて言葉数が少ない次男の何げない問いかけから始まり、小島さんの心を大きく揺さぶることになった対話のお話です。

(上)2年ぶりの渡豪でついに夫と息子たちに再会
(下)「ママの夢は?」 私は若さの光を浴びる喜びに包まれた ←今回はココ

胸の内に冗舌な世界を持っている次男

 話し好きの長男の話法は私に近く、細部まで言葉で表現する。言いたいことはほとんど言語化されて相手に示される。それをWordファイル提示型話法とするなら、次男と夫は圧縮されたzip型話法だ。言葉は手がかりに過ぎず、その内部に多くの情報が内包されているのだ。

 私は自分がWord型のため、相手の口から出た言葉の数だけを見て「情報少ないよ!」と思いがちである。ある時そのことに気づき、次男との会話を通じて、相手の言葉を解凍することを学んだ。人は言葉以外にもいろんな情報を出しているのに、私はあまりにも言語コンシャスであった。非言語のコミュニケーションの豊かさを教えてくれたのは次男である。圧縮されていた情報を解凍すると、次男もまた胸の内に冗舌な世界を持っていることをうかがい知ることができた。

 彼は今、来年の大学入試に向けて勉強中である。いろいろと将来のことを考える時期だ。先日、iPad越しに話している時に「僕ももうすぐ大学生だけど、ママのこれからの夢は何?」と聞かれた。即答できなかった。とにかく息子たちが大学を出るまでは頑張らねばとそれだけを考えて働いてきたので、将来の夢なんてものは考えたことがなかった。

私が植えたバラが、膝までの高さだったのに2年の間にこんなに育っていました
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