日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。コロナ禍で日豪の行き来が難しくなり、ひとり日本にとどまって家族と会えない状態が続いていましたが、このほどオーストラリアへの渡航が実現。約2年ぶりに家族との再会を果たしたそうです。そんな小島さんの今月のARIAな一歩は、「息子の言葉」。上下2本立てでお届けします。

(上)小島慶子 2年ぶりの渡豪でついに夫と息子たちに再会 ←今回はココ
(下)「ママの夢は?」 私は若さの光を浴びる喜びに包まれた

2年ぶりに家族と再会 涙の抱擁、ではなく…

 このほど、ついに2年2カ月ぶりに家族と再会した。パースの空港の出口で待っていた夫は、明るいパステルグリーンのTシャツ姿だった。2年前よりむしろ若返っている。その隣に誰かいると思ったら、大学生になった長男と、私よりも背が高くなった高2の次男だった。久々に3次元で見る息子たちのたたずまいは、もはやすっかり青年である。

 2年間ずっとタブレット端末の中で手のひらサイズだった息子たちは、実際に見ると以前よりもさらに縦方向に空間を占めるようになっていた。172センチの私が、家族3人に囲まれると捕獲された宇宙人のようだ。再会の感動は、ニュース動画で見るような涙の抱擁ではなく、ずっと画面で憧れていたアイドルとの遭遇に似ていた。「うわ、近くにいる! きゃああ本物だあ」「わあハグできた!!」と私は大はしゃぎである。

 家に着いてからも隙あらばハグをして、2年分のエナジーをチャージしている。息子たちにはあらかじめ「帰ったら私は毎日タコのようにくっつくので覚悟してくれ」と告げてあった。さして嫌がらないのを見ると、どうやら彼らも私に会いたかったらしい。子どもはいくつになってもかわいいものだ。たとえどこを触ってもゴツゴツしていても、甘い子どもの匂いが消え去ってすっかり若者くさくなっていても、そうした変化の一つひとつが親の目には奇跡である。

 手の大きさを比べ、足の大きさを比べ、背を比べ、足の指をつまみ、髪をなで、肩を組んだり手をつないだりして、息子たちの3Dデータを蓄積する。半月後に日本に戻った後も、彼らの存在を脳内で立体再生できるように。

 長男は大学2年なので当然車も運転できるし、教育学の勉強も兼ねて学童保育でバイトをしているので養育マインドにあふれており、なんなら私よりも大人である。思えば君は保育園の2歳児クラスの頃から年下の子のお世話が上手であったな、などと親子で教育談義をするのも非常に楽しい。

白い服が大学2年の長男、黒い服が高校2年の次男。向こうに見えるのはうちの庭の塀と、お隣の木です
白い服が大学2年の長男、黒い服が高校2年の次男。向こうに見えるのはうちの庭の塀と、お隣の木です