日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。子育ても終盤にさしかかり、「これまでとは違う新たな一歩」を踏み出しつつある小島さんが、新たな気付きや挑戦を語っていきます。今回のARIAな一歩は、「大人の学び直し」。

 いまARIAでは、学び直しの特集が大人気なのだそうだ。編集部から「小島さんの学び直しの話をぜひ書いて下さい! 英語の勉強をしていると言っていませんでしたっけ?」と言われた。そう、実は私は昨年、ある留学試験を受けた。

 かなりの難関で、まず受からないといわれる試験だとは知らず、知人に勧められて軽い気持ちで応募したのだが、途中から「やばいこれガチだ」と気づいてかなり疲弊した。正直、仕事しながらの挑戦は私の処理能力を超えていたが、仕事ではないことに時間を割いて必死になっていること自体にある種の解放感を覚えてもいたので、きつかったけど面白かった。でもって昨年末に通知が来て、補欠だった。補欠! 微妙!!! いっそ落ちたらそれで終わりなのに、補欠は万が一の繰り上げに備えて留学先を当たってみなければならないらしい。非常に中ぶらりんだ。繰り上がれる可能性は限りなくゼロに近いので、徒労に終わる可能性の高いことを激務を縫ってやる気力体力が湧かず、そのままになっている。

収入を得ながら「大人の学び直し」って、どんだけ大変なの!

 そう、私は志が低い。しかもなんでも自分に都合の良いように考えるので、いやー、ろくに準備もしないで付け焼き刃でトライしたのに、補欠に残ったなんて私すごいじゃん! と満足してしまった。少しでも可能性があるなら最後まで粘って留学先も当たっておくべきだと思いながら、いざ留学することを想像してみたら、こりゃ無理だなと思った。4カ月間も無収入になる勇気が出ないのだ。家族が干上がっちゃう。こういうとき、夫に稼ぎがある人が心底羨ましい。まあ、そんなことを言ってみたところで仕方がない。

 しかし私だって、どれほど学びたかっただろう。いまこの瞬間も、読みたい本や知りたいことや行きたい学校や挑戦したい勉強が山ほどある。英語だってもっと本腰入れてやりたいさ。でも、何一つ学び直せなかった。仕事をしながら効率よく勉強をしてスイスイと資格を取った人や、子育ての傍ら血のにじむような努力をして学位を取った人から見たら、きっと私はただの仕事の遅いダメ人間だろう。でもああ、1日たった24時間しかないのに、寝る時間と収入を確保しながら仕事以外の何かをする時間が一体どうやったら捻出できるのだろう? 志高いARIA読者の皆様の中に、この学び直し損ないの私のような苦しい気持ちを抱えている人はいませんか? 誰かー、いるなら返事をして! 私を一人にしないで!!