日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。子育ても終盤にさしかかり、「これまでとは違う新たな一歩」を踏み出しつつある小島さんが、新たな気付きや挑戦を語っていきます。今回のARIAな一歩は、「変わる女性アナ」。

田原総一朗氏の発言に女性アナがその場で苦言

 女性アナが、田原総一朗氏に異議を唱えた。それを伝えた東スポWebの見出しは「田原総一朗氏も“問題発言”!? 女性アナウンサー憤慨『女対男の話じゃないです』」。

 記事によると、2月7日放送のBS朝日『激論!クロスファイア』の中で田原氏は、日本の女性国会議員の少なさについて立憲民主党・辻元清美衆院議員と議論。辻元議員が「先進国で見たら(日本の女性国会議員は)圧倒的に少ない」と語るのに割って入った田原氏は「これはね悪いけど、男の責任もあるけど辻元さんたちにも責任がある」と発言したという。それに対し、共演者のテレビ朝日・本間智恵アナウンサーが「女性に責任を求めるのはどうか。政治の世界でも一般企業でもテレビ業界でも女性は少ない。女性対男性ではなく、みんなで変えていくこと」という旨の苦言を呈したという。至極まっとうだ。

 「政治経済は男がやるもの」「男は仕事、女は家庭」という価値観が強い日本では、女性は男性と対等な能力の持ち主とはみなされず、性別を理由に不当に低い評価をされることも珍しくない。政治分野では、国会議員や地方議員の候補者を男女均等にするよう政党などに求める候補者男女均等法が施行されたが罰則規定はなく、候補者数や議席数の一定割合を女性に割り当てるクオータ制にも反対が根強い。「女性だからという理由で優遇するのは女性の能力をおとしめるし、男性に対する逆差別だ」という的外れな意見もよく耳にする。そう考える人々は、長きにわたって「男が社会の正規メンバー」「女は男の補助とお世話係」という前提で社会がつくられてきたことが見えていない。構造的な性差別に考えが及んでいないのだ。

 もしかしたら、田原氏は古典的なテレビの手法で、あえて「あなたにも責任がある」と辻元議員に吹っかけて、“絵になる”議論にしようとしたのかもしれない。だが、ジェンダー平等の実現が世界的に主流の課題となっている中、ましてあの森発言の直後に、その田原氏流の挑発は偏見の助長にしかならないだろう。もし演出のつもりではなく本気で言ったのなら、なおのこと認識を改めてもらいたい。