日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。子育ても終盤にさしかかり、「これまでとは違う新たな一歩」を踏み出しつつある小島さんが、新たな気付きや挑戦を語っていきます。今回のARIAな一歩は、「エア離婚」。法的な離婚ではないものの、これからの生き方を考える上で大きな意味を持つ行動に至った胸の内を明かします。今回は上下2本立てでお届けします。

 昨年5月、婦人公論の「卒婚」特集で、“エア離婚”しました! と語った。読んだ知人からは「ひゃーどういうこと?」という軽い反応はあったが、そんな程度であった。それがじわじわ広がって、年末に別のメディアで割と詳しく話したら、前回よりも知人たちからの反応が大きくなった。

 LINEなんかで感想をくれた知人たちは、ってこれ全員女性なのだが「うちも同じ」とか「お気持ちよく分かります」と熱く語っている。ここ数年で結婚という形態についていろいろと議論されて気持ちが揺れまくっている大人の女性は多いだろう。そこで改めて私のエア離婚について書いておこうと思う

「エア離婚」とは何か

 エア離婚のエアは、エアギターのエアだ。ギターがあるつもりで熱いプレイを披露するエアギター。

 エア離婚は、法的な離婚手続きはとらないが、離婚をすることについて夫婦の合意が成立した状態で婚姻関係を続けることをいう。いう、って私が決めただけだけど。

 子どもがいると、離婚となると親権やら何やらいろいろと込み入った話になる。しかし我が家のようにある程度子育ての先が見えており、かつ日豪2拠点生活で、家族の仲が良く、夫婦の片方(うちの場合は夫)が経済的にすぐに自立するのが難しい場合は、法的に離婚しなくても「離婚については納得済み」という合意さえ成立していれば、実際の離婚は適切なタイミングで行えばいい。

 肝心なのは「子育てが一段落したら離婚したいという妻の気持ちについて夫が理解し納得しており、しかるべきタイミングで離婚の手続きを進めることで双方の合意が成立している」という状態を作っておくことである