昇進意欲がない人にも訪れる「キャリアの停滞感」

小林さん 「もともと昇進は見込めないし、出世にこだわりはないし……」という方もいるかもしれません。そんな人にも「キャリアの停滞感」は訪れます。出世競争やポストオフなどがない専門職の人でも同じ仕事を15年、20年やってきて、仕事はしっかりと回せるようになってしまったが故に成長を感じられず「キャリアの停滞」を感じる人は多くいるからです。

石山さん  15年、20年と長期的に同じ仕事を続けてきた人に訪れるマンネリ化、成長感の欠如というのは、大企業の男性社員だけでなく、誰にでもあること。

あなただけではありません。誰もが感じる「停滞感」です 写真/PIXTA
あなただけではありません。誰もが感じる「停滞感」です 写真/PIXTA

 心理学者であるカール・グスタフ・ユングは「40代からは人生の前半と後半の入れ替わりの時期である」として「人生の正午」と言ったそうですが、人生100年時代では、人生を1日にたとえるなら、50代からが正午といえるかもしれません。女性の場合、さまざまなライフイベントが起きる20代、30代を経て、「今後、自分はどう生きるのか」と改めて自分に向き合う時期とも重なってきます。

 ですが、考えてみると「もう終わり」ではありません。「まだ半分もある」のです。残り半分の長い道のりをどう歩んでいくのか。「キャリアの停滞」は、それを考えるための「転機」と捉えるべきでしょう。走り続けてきたからこそ迎えたこの「転機」にじっくりと向き合い、「人生の午後」「キャリアの後半戦」をどんな風に歩いていくのかを考えるためのヒントを、次回以降、調査データをもとにお伝えしますので、一緒に考えていきましょう。

取材・文/井上佐保子 イメージ写真/鈴木愛子 石山さん、小林さん写真/小野さやか