蓋を開けてみなきゃ、人にはどんな悩みがあるのか分からない。笑顔でステキなあのARIAさんも、40~50年も生きてりゃ悩みの1つや2つありますよね。さて、今日はどんなお悩みが出てくるのでしょうか――。今回は、外見の衰えが受け入れられないという女性のお悩みに、看護師僧侶の玉置妙憂さんが回答してくれます。

ARIAさんの悩み 年々衰える容姿。見た目にどんどん自信がなくなる。外見の若さにこだわるのは愚かですか?(51歳・あんこもちさん) 年齢とともに容姿が衰えるのは仕方ないと思いますが、やはりときどき耐えられない思いです。「美魔女」とか「年齢より若く見える」と言われて喜んでいる他人に対しては「浅はかだな」と冷めているのに、自分の見た目となると認めたくない部分が日に日に増えて憂鬱です。他の人は自分の容姿の明らかな衰えをどう容認していっているのか不思議です。いつまでも見た目の若さや美しさにこだわる自分は愚かですよね?

回答者:玉置妙憂さん(看護師僧侶)


「老い=駄目」だと社会がすり込んでいます

 私たちは、現代社会の「若作り文化」の考え方に知らず知らず染まってしまってますよね。

 例えば、「介護予防」という言葉があります。介護予防とは、「介護が必要になることが駄目だからそれを予防したい」ということですよね。でも介護が必要になるってどういうことか。人間は、普通に年を取ったら、そのうち足腰が弱くなって、他人の手を借りないとできないことが増えます。それは当たり前、普通の話です。

 生まれたばかりの赤ちゃんは何もできません。誰かがおっぱいをあげたり、おむつを替えてあげたりしなくてはいけませんが、「そうならないよう予防しよう」とは誰も言わないですよね。「育児予防のために生まれてすぐ自立させよう」なんていうのはあり得ないですよね。それと同じぐらい、「介護予防」って言葉はおかしいですよ。

 どちらも自然で当たり前のことなのに、赤ちゃんの成長のように「伸びていく事象」に対してはウエルカム。一方、人が老いていくように「後退していく事象」に対しては否定的に受け止める。これは、現代医学によって社会に根付いた価値観ではないでしょうか。

 加齢とともに、つえを突いて歩いたり、おむつをしたり、他人の手を借りて生きることは駄目なことなのでしょうか。そうなってはいけないことなのでしょうか。そのような考え方が社会の根底に流れているから、年を取って出てくるシワも否定され、「美魔女」なんていう言葉が生まれ、「若く見える」ための手段や商品がもてはやされるんです。