蓋を開けてみなきゃ、人にはどんな悩みがあるのか分からない。笑顔でステキなあのARIAさんも、40~50年も生きてりゃ悩みの1つや2つありますよね。さて、きょうはどんなお悩みが出てくるのでしょうか――。今回は、「W不倫がやめられない」という女性のお悩みに、エッセイストの酒井順子さんがお答えします。


回答者:酒井順子さん(エッセイスト)


 結論から言ってしまうと、無理にやめなくてもいいのでは、という気がするんですよね。相談内容を読むと、ナツさんは不倫相手のことがすごく好きというわけじゃなさそうです。一種の娯楽として不倫されているように感じますし、求められているという感覚、精神的な安定が欲しいだけなのではないでしょうか。

 お互いの家族に絶対にバレないというのが最低限のマナーではあり、それを死守できるのであれば、ひとつの息抜きと割り切って続けるというのもあると思います。そのうち何らかの理由で、踏ん切りのつけ時はやってくるはず。このくらいの年になると自分が病気になる可能性もありますし、ちゃんと「別れたい」「別れなくては」と思う時が来るまで、 流れに任せてみてもいいんじゃないでしょうか。

 私が無理に不倫をやめなくてもいいのでは、と思う理由に、晩年にボーイフレンズライフを謳歌した60代の知人がいたからなんです。

 その方は、60代で夫に先立たれたのですが、その後、学生時代に付き合っていた男性と仲良くなって、性的関係があったかどうかはよく分かりませんが、毎週のように食事やドライブに行っていて、QOLがめちゃくちゃ上がっていました。その女性は、つい最近亡くなったのですが、最後まで楽しい人生を過ごしていました。

 先のことを考えると、互いに配偶者を亡くすこともあるかもしれません。そんな時、今の不倫相手がとても大切な人になる可能性もあるかもしれない、とも思うんです。お互いに相性が良いから、関係が続いている部分もあるわけですから。

 ナツさんは、夫と離婚はしたくないんですよね。今の安定した家庭生活は手放したくないという気持ちはお持ちでしょうから、もし、この不倫関係がバレてしまったら「二兎(と)追う者は一兎をも得ず」という状態になってしまうかも。家庭が崩壊する可能性があるということを、不倫を続ける限りは覚悟しなければいけないと思います。また、相手の妻からの慰謝料請求という可能性もあるわけで、不倫とは本来、人生をかけてするものなのだと思います。