蓋を開けてみなきゃ、人にはどんな悩みがあるのか分からない。笑顔でステキなあのARIAさんも、40~50年も生きてりゃ悩みの1つや2つありますよね。さて、きょうはどんなお悩みが出てくるのでしょうか――。今回は、実母の介護が本格的に始まり、仕事や将来に不安を感じるという52歳の女性。キャリアカウンセラーの小島貴子さんが「介護の『ボーダーライン』を決めましょう」とアドバイスをします。

ARIAさんの悩み 母の介護が現実に。前向きになるために必要なことは?(52歳・プリン) 母の介護が本格的になってきました。職場の理解もあって何とか仕事と両立できていますが、介護が終わった後に自分が精神的、体力的にどんな状況になっているか、全く想像ができません。仕事も、中断まではいかなくともキャリアとしては停滞せざるを得ないと思います。ポジティブに向き合っていくために必要なことや、考え方があれば教えてください。

回答者:小島貴子さん(キャリアカウンセラー、東洋大学准教授)


 プリンさんも大変な時期に差し掛かっているのですね。お仕事の内容や負担までは分かりませんが、一番大事なのはプリンさんの人生です。それをまず考えましょう。

 今できるのは、いつまで、どこまで親を見るのか、ボーダーラインを決めることです。

 介護にも子育てにも、「終わり」があります。それは自分で決めなくてはいけないボーダーラインでありルールです。これを決めずにいると、もしかしたら70歳になってもまだ介護を続けているかもしれません。人生100年と言われても、十分に自立した生活ができるのはせいぜい70歳から80歳くらいまで。それまでの貴重な時間を介護に費やすのは、悔いが残らないでしょうか。

 私は実の両親と、夫、夫の母を見送りました。今は夫の父と同居をしています。「自分で歩くことができなくなる、あるいは認知症が出てきたら施設に入っていただく」と決めていて、夫の父にも話しています。私の父と夫の母にも同じようにしてもらいました。

 看護師だった母はこう言っていました。「ぎりぎりまで面倒を見る必要はない。プロに見てもらうのが一番」と。母自身は、老老介護ではありましたが健在だった父が在宅介護をして、みとりました。父は施設に入所して7年後に亡くなりました。義母も歩けなくなって最後の4年間は施設にお世話になりました。