蓋を開けてみなきゃ、人にはどんな悩みがあるのか分からない。笑顔でステキなあのARIAさんも、40~50年も生きてりゃ悩みの1つや2つありますよね。さて、今日はどんなお悩みが出てくるのでしょうか――。今回は「50代のキャリアの展望がない」ことに悩む女性がご登場。答えてくれたのは、日経WOMAN編集長を卒業後も、働く女性を応援する活動を続けるジャーナリストの麓幸子さんです。


回答者:麓 幸子さん(作家・ジャーナリスト・元日経WOMAN編集長)


プラトー族になっていませんか?

 役職定年を見据えてのこまちさんの複雑な気持ち、よーく分かります。私もそうでした。どんなに実績を上げた人でも55歳で役職を解かれ、ただの人になってしまう……。そういうケースをたくさん見てきました。かつての部下が上司になることもあり得ます。役職定年後の元管理職の姿を見ると、「自分はどうなるんだろう」と考えてしまいますよね。

 さて、「キャリア・プラトー」という言葉をご存じですか?この「プラトー(plateau)」は直訳すると「高原状態」となりますが、この場合は「停滞」を意味します。キャリア・プラトーとは、組織内で昇進の可能性がなくなったり、自分自身が行き詰まったと感じたりして、本人のモチベーションが低下してキャリアが停滞することを指します。役職定年や定年後再雇用された男性の多くは「プラトー族」ではないかと思うのですが、「もう出世することはないでしょう」と言うあなたの中にも、閉塞感や諦めを感じてしまいます。

 こまちさんに、あえて問います。出世の可能性はないですか。これ以上の出世を望んでいないのは本当の気持ちですか。

 職位が上がるとより大きなパワーが与えられて、自己裁量の範囲が広がり、違う景色が見えます。自分が昇進したときのことを想像してみましょう。あなたよりも仕事ができない男性管理職は、きっと「自分は昇進してしかるべき人間」と思っていますよ(男性は自信家が多く、女性は得てして控えめなのです)。そんなの悔しくないですか。