蓋を開けてみなきゃ、人にはどんな悩みがあるのか分からない。笑顔でステキなあのARIAさんも、40~50年も生きてりゃ悩みの1つや2つありますよね。さて、今日はどんなお悩みが出てくるのでしょうか――。今回は「年上の部下との人間関係」に悩む新米管理職の女性がご登場。答えてくれたのは、日経WOMAN編集長を卒業後も、働く女性を応援する活動を続けるジャーナリストの麓幸子さんです。


回答者:麓 幸子さん(作家・ジャーナリスト・元日経WOMAN編集長)


年上の男性部下が引き起こした「ホワイトボード問題」

 管理職になった女性の悩みの大半は、部下マネジメントに尽きると思います。しかも「年上の男性部下」というのが、部下の中でも一番の難物です。

 かくいう私も同じような経験があります。日経WOMAN編集長だったときの部下はほぼ全員が年下の女性で、しかも真面目で素直、優秀な人ばかり。女性同士のためコミュニケーションも取りやすく、私は管理職としてあまり苦労することはありませんでした。随分とラクをさせてもらったと思います。

 しかし、その後に着任したセクションでは、様相が一変します。部下の大半が年上の男性となったのです。しかも、管理職経験者がほとんどで、実績も実力もあり、なおかつ(お笑いコンビ・千鳥のノブさんの言うところの)「クセが強い」キャラ立ちした面々でした。

 そこで、早々に私の悩みの種になったのが「ホワイトボード問題」でした。

 当時の職場ではホワイトボードの予定表があり、それにめいめいが本日の行き先と帰社時間を書き込むという方法を取っていました。大抵の部下は、それにキチンと書いてくれました。そうすると上司である私はひと目で本日の部下の行動が分かります。何時に帰ってくるから、それからあの件の進捗を確認しとこうかな、という計画も立てられます。

 しかし、そこに絶対書き込まない年上の部下がいたのです。何度「書いてください」と言っても生返事でホワイトボードは白いまま。彼が1日どこで何をしているか分からず、帰社時間も不明で、ほとほと困りました。

 ある日、意を決して「●●さん、ホワイトボードに書いてください!」と強めの口調で言ったら、彼はなんとこう答えたのです。