東京・恵比寿の地域密着型WEBメディア「恵比寿新聞」編集長の髙橋ケンジさんの人生は、いきあたりばったりで、破天荒、そして即興的。未経験で入ったWEBデザイン会社で活躍するも、仕事内容に意義を見いだせず退社。収入の当てもない、無広告メディア「恵比寿新聞」を立ち上げ、好きなことだけしていたら、次々と仕事の依頼が舞い込んでくるようになったのでした。

 2011年に「恵比寿新聞」として記事を配信し始めた後、知り合いのバーのオーナーに「なんかイベントやって」とむちゃぶりされて、当時作るのにハマっていたたこ焼きをみんなで食べながら踊るという「たこ焼きディスコ」を開催した僕。予想外に盛況で、イベント制作会社の人から「面白いね~」と声をかけられて話していたら、国の行政機関が関わる食のイベントの企画を頼まれた。

 規模が大き過ぎて「僕には無理」と思いながらも、興味をそそられた。食材を恵比寿の飲食店に配って、コンテストをしたら面白いかも。そう思って提案したら採用になって、20店舗以上の飲食店が協力してくれた。メディアの取材が入るほど注目を集めて、僕は2013年から5年連続で企画を任された。で、そこそこの製作費をもらった。

 もらったお金はできるだけ面白く使いたいから、畑をつくる資金に充てた。

「思い切ってやってみた企画が大成功を収め、5年間企画を任されました」
「思い切ってやってみた企画が大成功を収め、5年間企画を任されました」

 なぜ畑づくり?と思うだろうが、これも自然な流れというか、偶然が重なった結果だった。家族で山梨県の河口湖に旅行にいったとき、宿泊先のロビーで「週末農業体験」というチラシを見つけて行ってみた。農業体験の主催は、コイケさんという80代のおじいさんだった。いろいろと体験させてもらいながら話をしたら、耕作放棄地にする畑があると知った。畑をやる人がいなければ税金を取られるだけだから放棄するしかないのだと。それを聞いて、「じゃあ恵比寿新聞がやります!」と僕は即答していた。