マラソン代表選考騒動に巻き込まれて…
小鴨 この騒動が起こる直前、私は米国の高地合宿に出発していました。多分、監督が私に選考の雑音を入れないように計らってくれたんでしょうね。
そもそもことの発端は、3人の五輪出場枠を争う中で、前年の世界陸上で銀メダルだった山下佐知子さんが内定を得、残る2枚を私と松野さん、世界陸上で4位だった有森裕子さんで争うことになったんです。ただ、私は大阪国際女子マラソンで優勝しているので確実視され、実質的には残り1枚を松野さん、有森さんで争う形になっていました。残り2枠の発表前に松野さんが「私を選んで」と訴えましたけど、実際に選ばれたのは私と有森さんでした。
五輪出場を前に私を苦しめた思わぬもの
小鴨 一方、「なんで松野を選ばない」という声もあり、ちょっとした騒動になったと後で聞きました。そのとばっちりが私にも来て「優勝したとはいえ、なんであんなぽっと出の小娘が」という声もあったそう(笑)。
その頃、米国にいた私は別のことで苦しんでいました。バルセロナ五輪の出場切符は手にしたものの、フルマラソンの大会に出場したいという夢はもう達成できたので、「燃え尽き症候群」にかかってしまったのです。
※(下)では、バルセロナ五輪に出場して完走したときの心境、引退後の人生についてお聞きします。お楽しみに!
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⇒五輪で惨敗…でも、マラソンとは離れられない私の人生
取材・文/吉井妙子 写真/中西ゆき乃