初マラソンで予想外の優勝、人生が激変

小鴨 元夫とは離婚後もパートナーとして支え合ってきたので、なかなか現実を受け入れられず……。でも食べ盛りの息子が二人いたので、稼がなきゃいけない(笑)。そして2019年春には福岡市議選にも立候補しました。長年、障害児に関わってきた経験を政治に生かしたいと考えたのですが、力及ばす落選です。

 今、48歳ですが、改めて自分の人生を振り返ってみると、やはり大きなターニングポイントになったのが、20歳で出場した大阪国際女子マラソンですね。そこで優勝してバルセロナ五輪に出場できたし、現在も各地のマラソン大会にゲストランナーとして声をかけていただけるのは、あの大会があったからこそ。

現役時代、トレーニング中の小鴨さん。初のフルマラソンで鮮烈なデビューを飾った大阪国際女子マラソンから、わずか半年後にバルセロナ五輪が開幕した(写真提供/小鴨さん)
現役時代、トレーニング中の小鴨さん。初のフルマラソンで鮮烈なデビューを飾った大阪国際女子マラソンから、わずか半年後にバルセロナ五輪が開幕した(写真提供/小鴨さん)

―― 1992年1月の大阪国際女子マラソンで、いきなり小鴨さんが優勝した時、「誰?」と思いました。

小鴨 そうでしょうね。私だって「私が優勝?」とびっくりしたくらいですから。あの大会には、当時世界記録保持者のイングリッド・クリスチャンセン(ノルウェー)さんやソウル五輪銅メダリストのカトリン・ドーレ(ドイツ)さん、浅利純子さん、松野明美さん、増田明美さんなど国内外の強豪選手が大勢エントリーしていたし、バルセロナ五輪の選考レースでもあったので、大きな注目を集めていたと思います。