五輪の前年に急死した父が取らせてくれた

里谷 フィニッシュラインで日本代表の仲間たちがガッツポーズをしているのを見て、なんだか分からないけど取りえず私もガッツポーズしておこう、そんな感じでした。優勝を確信したのは、試合後のテレビ局回りをしたとき。どこの局でも、滑ったシーンを見せられ、それでやっと「私が優勝したんだ、金メダル取ったんだ」って。

 今でも、長野五輪の金メダルは、その前年に亡くなった父が取らせてくれたと思っています。試合のときとき、父の写真と父にもらったお守りをウエアに忍ばせて滑ったので。そして2002年、ソルトレークシティー五輪の銅メダルは自分の実力。このときはスタート直前になっても雑念を払い切れなかったし、どんな滑りだったかも覚えています。

「今でも、長野五輪で滑った内容の記憶がない。金メダルは、その前年に亡くなった父が取らせてくれたと思っています」
「今でも、長野五輪で滑った内容の記憶がない。金メダルは、その前年に亡くなった父が取らせてくれたと思っています」

―― 当時、日本であまり知られていなかったモーグル競技を始めたのはなぜですか。