中3で腹をくくった「金メダル以外価値がない」

―― そんなご両親と高校進学時にも衝突してしまいます。

中田 初めて日立製作所の体育館に足を踏み入れた時、壁に飾ってあったモントリオール五輪の金メダルメンバーの写真に圧倒されました。でも、ここに来た以上、女子バレーの伝統と栄光を引き継がなければならないし、金メダル以外は価値がないと腹をくくりました。中学3年生で全日本メンバーに選ばれ、ロサンゼルス五輪まで2年半ぐらいしかなかった。だから高校進学に関しては大いに悩みましたね。

 親は当然のように高校進学を勧め、譲らない。ただ私は、高校に行ったらロスで金メダルを取れないと察知していた。セッターはアタッカーと阿吽(あうん)の呼吸でプレーをしなければならないけど、高校に行ったら練習時間を大幅に削られてしまう。先輩方は金を目指して懸命に努力しているのに私だけのんびり通学している場合じゃないと。親には通信教育で卒業すると約束し説得しました。

―― これまでの人生の中で15歳から18歳というのは最も凝縮した時間だったのでは?

「女子バレーの伝統と栄光を引き継がなければならないし、金メダル以外は価値がない。中学3年、15歳で腹をくくりました」
「女子バレーの伝統と栄光を引き継がなければならないし、金メダル以外は価値がない。中学3年、15歳で腹をくくりました」