13歳で一人立ちを決意 一気に白髪になった母
中田 「自分の人生は自分で切り開きなさい。その代わり、しっかり考えて後悔しないように」
今振り返ってみると、このときの父の言葉が私の人生の出発点になった気がします。これから先は一人で歩かなければならない、と覚悟した一瞬でした。まだ13歳でしたけど。
ただ、母はやはり心配だったみたいで、体育館で練習する私を毎週末見に来ていました。それがたびたび続くので母にこう告げたんです。
「どの子の親も寂しいと思うけど、地方の子は親に会えないんだよ。その子たちの身にもなってみて」
以来、母は姿を見せなくなりました。でも母に来てほしくなかった本当の理由は違っていた。私は叱られやすいのか、監督やコーチにたびたび怒鳴り飛ばされていたんです。多分、チームを締めるために私が怒られていたんだと今なら思います。私を案じている母にそんな姿を見せ、これ以上心配させたくなかった。でも母は、その時から髪の毛が一挙に白くなってしまって……。