13歳で一人立ちを決意 一気に白髪になった母

中田 「自分の人生は自分で切り開きなさい。その代わり、しっかり考えて後悔しないように」

 今振り返ってみると、このときの父の言葉が私の人生の出発点になった気がします。これから先は一人で歩かなければならない、と覚悟した一瞬でした。まだ13歳でしたけど。

 ただ、母はやはり心配だったみたいで、体育館で練習する私を毎週末見に来ていました。それがたびたび続くので母にこう告げたんです。

 「どの子の親も寂しいと思うけど、地方の子は親に会えないんだよ。その子たちの身にもなってみて」

 以来、母は姿を見せなくなりました。でも母に来てほしくなかった本当の理由は違っていた。私は叱られやすいのか、監督やコーチにたびたび怒鳴り飛ばされていたんです。多分、チームを締めるために私が怒られていたんだと今なら思います。私を案じている母にそんな姿を見せ、これ以上心配させたくなかった。でも母は、その時から髪の毛が一挙に白くなってしまって……。

15歳で全日本にデビューし、18歳の若さで正セッターに。「天才だなんてとんでもない。どちらかと言えば、人一倍練習をこなしてきた努力タイプの人間。誰よりも練習していました。10万球トスを上げたとしたら、そこには10万通りの意思を込めました」
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