金メダリストになった途端に環境が激変

岩崎 そう、中3から高校1年までの記憶がほとんどないんです。

 金メダリストになった途端、環境が180度変わってしまいました。まず驚いたのが帰国時の空港。カメラマンが何十人もいて、私が歩くたびに追いかけてくる。バルセロナでは日本競泳陣の中でメダルをとったのは私だけだったから、取材陣が私一人に集中するのもすごく嫌だった。でもそれはまだ序の口。

 家から一歩出ると多くの人の視線にさらされ、学校の行き帰りには、見知らぬ人に何度も後を付けられました。家の電話は鳴りっぱなしになるし、かみそりの刃を送られてきたこともあります。それで学校の行き帰りは母が車で送り迎えをしてくれることになりました。

心に刺さった「14年しか生きていないのに何が分かる」の声

岩崎 知らない人に「14年しか生きていないのに何が分かる」とか「私なんて何年生きていてもいいことないよ」とか声を掛けられ、今だったら「幸せと感じるのは、何歳でもいいでしょ」と思うんですけど、まだ思春期になったばかりですから、ズサズサ心を切られましたね。また、高校は私の入学時から男女共学になったんですけど「岩崎が共学じゃないと行かないと駄々をこね、共学にさせた」とか、信じられない噂話がたびたび耳に届きました。

「中3から高校1年までの記憶がほとんどないんです。金メダリストになった途端、環境が180度変わってしまいました」
「中3から高校1年までの記憶がほとんどないんです。金メダリストになった途端、環境が180度変わってしまいました」