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オリンピアンの栄光と挫折

杉浦佳子 挫折を乗り越え、50歳「最高齢で金メダル」

(上)薬剤師として働いていた45歳の時に事故で負った障害。高次脳機能障害に苦しむ人たちの代表者として…


オリンピック、パラリンピックというひのき舞台で輝いたスポーツ界のヒロインたちの「その後」は、意外に知られていません。今回は、東京2020パラリンピックで金メダルを獲得した杉浦佳子さんの栄光と挫折に、ジャーナリストの吉井妙子さんが迫ります。

(上)挫折を乗り越え、50歳「最高齢で金メダル」 ←今回はココ
(下)幸せな毎日が事故で暗転…絶望からの金メダル

とっさに出た言葉「最年長記録はまたつくれる」

―― 50歳で出場した東京2020パラリンピックの自転車競技で2つの金メダルを獲得し「最年少記録って二度とつくれないけど、最年長記録はまたつくれますよね」と語った言葉は、障害を持つ方々だけでなく、ミドルシニア世代にも大きな勇気を与えました。

杉浦佳子さん(以下、杉浦) あれはとっさに出た言葉だったんです。実を言うとパラリンピック競技初日に出場したトラック女子3000メートル個人追い抜き(運動機能障害C1~3)で東京2020パラリンピックメダル第一号を狙っていたんです。でも結果は5位で予選落ち。正直、焦りました。想像以上に他国の選手たちが早くなっているな、と。

 「金メダルを取ります」と宣言していたのに、手ぶらで帰ることはできない。何色でもよいからとにかくメダルが欲しいと思ってスタートしたロード・タイムトライアルで最高のメダルを獲得でき、ホッとしました。最高齢だったことは、報道陣から「日本人選手で過去最高齢の金メダル」と言われ、初めて知ったんです。

杉浦佳子(すぎうら・けいこ)
杉浦佳子(すぎうら・けいこ)
1970年、静岡県生まれ。北里大学薬学部卒業後、薬剤師に。マラソンが趣味だった30代、トライアスロンに挑戦するために自転車の練習を始める。2016年、自転車レース中に落車。高次脳機能障害と右半身まひが残る。17年にパラサイクリングに転向し、世界選手権優勝。18年にワールドカップで全戦完全制覇。21年、東京2020パラリンピックで金メダルを2つ獲得

―― その3日後には、ロードレースでも金メダルを獲得。そもそも体力的に厳しい自転車で、トラック競技の3000mと500m、そしてロード競技のタイムトライアル、ロードレースと10日間で4種目に出場。50歳の人が挑戦することとは思えません。

杉浦 正直に言うなら、年齢は競技者の私にとってネガティブワードでしかなかったんですよ。薬剤師の頃は、年齢を重ねることが誇りだったんですけどね。

 2016年4月、45歳の時に静岡県で行われたロードレース中に落車し、一命はとりとめたものの高次脳機能障害と平衡感覚の欠落、右半身に障害が残りました。でも、必死にリハビリし17年から自転車競技のC3に出場。ちなみにCクラスは切断、機能障害、まひなど手脚や体幹に障害のある選手が出場するカテゴリーで、障害程度により1~5まで分かれます。1は最も重く5は最も軽くて私は3でした(一時C2になるも、現在はC3)。

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