2006年のトリノ五輪で4位に入賞し「氷上のアクトレス(女優)」と呼ばれた村主章枝さんの(下)です。引退後は振付師として活動しながら社交ダンス、写真集の出版や映画の製作などさまざまな分野に果敢に挑戦。村主さんの壮大な夢について聞きました。
(上)フィギュア引退後に始まった人生の本編
(下)選手、コーチ、振付師…私の夢はもっと先に ←今回はココ
指導者になるため、カナダで資格取得に挑む
―― 引退直後、カナダのトロントに渡り、世界のトップ選手が練習拠点にしているグラニットクラブでコーチをしていました。
村主 カナダで指導者を名乗るには、NCCP(ナショナルコーチの認定プログラム)の資格を取らなければなりません。その勉強がもう大変で。80時間の授業が必須だったけど、専門用語ばかりだし、授業はディベートやグループディスカッション形式で行われるので、頭がパンパンになりましたね。
しばらくはグラニットクラブで選手の指導や振り付けをしようと考えていたんですけど、3年目の就労ビザ更新の時に永住権の申請もしなければ続けられないことが分かって。米国のグリーンカードを持ったまま、カナダの永住権を取り、日本のパスポートを持つことはできないと聞き、カナダを離れることにしたんです。
―― 次の活動拠点として米・ラスベガスを選んだのは?
村主 当初は日本人やアジア人が多く住むロサンゼルスかサンフランシスコに拠点を構えるつもりでいたのですが、たまたま友人から、アイスホッケーチームがラスベガスに結成されることになり、チームの練習場ができたと教えてもらったんです。訪ねてみると、「ぜひリンクでフィギュアスケートを教えてみないか」と。私にとっては渡りに船。それで2018年からラスベガスを拠点にした活動を始めました。