「慎吾ママ」を世に送り出し、『めざましテレビ』『クイズ$ミリオネア』『サラメシ』など数々の人気番組を手がけてきた放送作家・たむらようこさん。20年前に、従業員が女性だけの放送作家オフィスを設立し、男社会のテレビ業界に一石を投じ続けてきたたむらさんが、テレビではたらく女たちのリアルをありのままにお伝えします。

 「ようこさん、今日、私に何してほしいですか?」

 ある日、会社のデスクで仕事をしていた私に1通の携帯メールが届いた。差出人は、その日が初出社だった20歳の新入社員ちゃん。メール画面からふと顔を上げると、当の本人が7つ先の自席で、はにかみながら、こっちを見ているではないか。なぜだ、なぜ聞きに来ない!? 新し過ぎる!

 とにもかくにもメールをもらったのだから返事をしなければ。

 「と・も・だ・ち・じゃ・な・い・よ♡」

 そして私は、静かに画面を閉じた。

手がけた企画は「慎吾ママ」から『おじゃる丸』まで

 はじめまして。私は「たむらようこ」というペンネームで活動する放送作家。テレビ番組の企画を立案したり、原稿を書いたりして暮らしている。

 出世作は「おっはー!」のあいさつでおなじみ、香取慎吾さんの「慎吾ママ」(2000年ごろにフジテレビ系列のバラエティー番組『サタ☆スマ』で放送された企画)。「あぁ、あれ!」と思ってもらいたいが、若い人に話しても、もう誰もその番組を知らない。

 25年以上続くフジテレビ系列の情報番組『めざましテレビ』の初回原稿を書いたのも自慢だが、それを話すとベテランの香りが漂い過ぎるので、“ひそかな”自慢としている。

 「ファイナルアンサー」のキャッチフレーズが流行した『クイズ$ミリオネア』(フジテレビ系列)では、スタジオでみのもんたさんに内容などの説明をする係だった。みのもんたさんが「ファイナルアンサー」と言った後、目を閉じてシーンとする時間をつくっていたのを覚えていらっしゃるだろうか? あのとき、結構な割合でみのさんは寝ていた。

 今は、中井貴一さんのナレーションで人気のNHK『サラメシ』や、滝川クリステルさん、博多華丸・大吉さんが司会を務めるMBS全国ネット『教えてもらう前と後』などを担当。NHK『おじゃる丸』など、アニメのシナリオも書く。皆さん、どれかご覧になったことはあるだろうか。

はじめまして、たむらようこです。テレビ番組の企画を立案したり、原稿を書いたりして暮らしています。写真は今年中学生になった息子と
はじめまして、たむらようこです。テレビ番組の企画を立案したり、原稿を書いたりして暮らしています。写真は今年中学生になった息子と