「慎吾ママ」を世に送り出し、『めざましテレビ』『クイズ$ミリオネア』『サラメシ』など数々の人気番組を手がけてきた放送作家・たむらようこさん。20年前に、従業員が女性だけの放送作家オフィスを設立し、男社会のテレビ業界に一石を投じ続けてきたたむらさんが、テレビではたらく女たちのリアルをありのままにお伝えします。

「子育て中の女に、バラエティーのノリなんか、もう分からないでしょ」

 出産後に復帰したある放送作家の女性は、会議でバカにされて泣いたという。

 テレビ業界全体がそうだとは思ってほしくないのだが、局地的に、しかし確実に、しかもそう少なくない割合で、いやもう結構いっぱいね、こうした「ひどい会議」は残っている。

 例えば、3月にこの連載でも書いた「女の離れ小島」「令和時代に『中心に男、離れた壁際に女』の会議があった」参照)。大きな会議室の中心で男性たちがワイワイ騒ぎ、隅っこの離れ小島みたいな場所に女性はまとめて座らされていた。そこだけ、「おしん」の時代なのかな?

 例えば「ウソつきな会議」。テレビ局の偉い人の発言が、明らかにつまらないのに、取り巻きたちがこぞって「面白い」と持ち上げ、企画が変な方向に進む。後になって持ち上げた本人が「あんな企画はクソつまらない」とか愚痴を言うのだから、ここは「王様の耳はロバの耳」の物語の世界なのかな?

 例えば――、いや、もうやめておこう。ひどい会議の例えばかりで、せっかく私に許されている3000文字が終わってしまいそうだ。

テレビ局の偉い人の発言が、明らかにつまらないのに、取り巻きたちがこぞって「面白い」と持ち上げ、企画が変な方向に進んでしまうことも…(写真はイメージ/PIXTA)
テレビ局の偉い人の発言が、明らかにつまらないのに、取り巻きたちがこぞって「面白い」と持ち上げ、企画が変な方向に進んでしまうことも…(写真はイメージ/PIXTA)

性別や地位で差別されない、すてきな会議

 しかしそんなテレビ業界にも、すてきな会議がある。その会議に私は10年以上出席しているが、一度も「男性だから、女性だから」と性別で何かを区別されたことはない。さらに「先輩だから、後輩だから」と発言の重さが異なることも全くない。さらには「テレビ局の偉い人だから、制作会社のADだから」と立場で発言の重さが違うことすらない。

 そう聞くと、志を同じくする、いい仲間が集まった小さなユートピア的な現場を想像するかもしれない。しかし実際は、ゴールデン番組、しかも、世帯視聴率11~12%をコンスタントに取っている看板番組だ。その番組は、『サラメシ』(NHK総合火曜19時30分~)!

 コラム「テレビではたらく女たち」、今回はサラメシの会議に見る、働きやすさについて。