「慎吾ママ」を世に送り出し、数々の人気番組を手がけてきた放送作家・たむらようこさん。20年前に従業員が女性だけの放送作家オフィスを設立して、男社会のテレビ業界に一石を投じ続けてきたたむらさんが、テレビではたらく女たちのリアルをありのままにお伝えします。

 東京・六本木ヒルズにある「メトロハット」をご存じだろうか? 日本を代表する円柱形の広告スペースである。なにせ、あのセレブの巣窟(失礼!)六本木ヒルズの表玄関にあり、六本木通りから見上げても、かなりな存在感。円柱の外側も内側も、壁をぐるりと取り巻くように広告が表示されている。内部には、中央を貫くように地下通路と地上を結ぶ長いエスカレーターが配置され、通行人は美しい広告の世界観にどっぷり浸ることができる。

1週間1000万円超の広告スペースを個人で買った女

 そんなメトロハットには、Apple、BMW、カルティエなど、いつだって一流ブランドが広告を出している。噂によれば、1週間で最低でも1000万円以上の広告費がかかるそうだ。

 そんなメトロハットの広告スペースを個人で買った女がいる(*)。普通、買う? そもそも個人で買えるのか? 買おうというアイデアすら浮かばないだろう。そんなことをやらかすのは、あの女しかいない。当連載には早くも2回目の登場(「『言いたいことを言い過ぎる女』が人々を引きつける理由」参照)。そう、田村有樹子さん。通称、タムちゃんだ。

(*)正確には、メトロハットに「広告を出した」という意味
東京・六本木にあるメトロハットの広告スペースを個人で買った、田村有樹子さん。キングコング・西野亮廣さんの右腕だ
東京・六本木にあるメトロハットの広告スペースを個人で買った、田村有樹子さん。キングコング・西野亮廣さんの右腕だ

 こんにちは、たむらようこです。コラム「テレビではたらく女たち」、今回は、お笑いコンビ、キングコング・西野亮廣さんの右腕、タムちゃんが『映画 えんとつ町のプペル』封切りまでに見せた「桁外れの愛」。そして、当コラムを読んで気に入り、うちの会社までわざわざ会いに来てくれた、某テレビ局の女性ドラマプロデューサーの体験談をお届けしたい。

 二人の話を通じて私が書きたいのは、「私たちの繊細な仕事を、大きな力で踏みにじられる時代は、もう去年までで終わりだ」ということだ。